La Fonda Del Sol(ラ・フォンダ・デル・ソル)はかつて米国・ニューヨークに存在したラテンアメリカをテーマにした陽気なレストランです。1960年にオープンし1971年まで営業をしました。
アレキサンダー・ジラードがインテリアデザインを行い、家具をチャールズ&レイ・イームズ夫妻が担当しました。
ジラードによる最も有名な功績の一つです。
ジラードのインテリアデザインにイームズの家具が置かれたレストラン
(Herman Miller A Way of Living P.296)
ラ・フォンダ・デル・ソルが作られたのは1959年にニューヨークで竣工したタイムライフビルディングの一階ロビーです。
この場所にレストラン経営の成功者であるジョー・バウムがレストランを開くことになり、そのインテリアデザインをアレキサンダー・ジラードに依頼したことから始まります。
ジョー・バウムはアメリカで初めてテーマレストランを経営した人物として知られており、今回もテーマを決めたレストランをオープンすることになりました。
(Herman Miller A Way of Living P.297)
ジラードはかねてよりフォークアート収集家として知られていた人物でもあり、ラテンアメリカの文化に非常に大きな関心を持った人物でした。
そこでジラードはコロンブスが辿りつく以前のアメリカ文化をテーマにし、陽気でラテンなレストランを作り上げました。
そして名前は太陽からを意味するLa Fonda Del Solと名付け、レストランに関わるほぼ全てのデザインを自身で手掛けました。
(ジラード展の時の写真 https://ogitaka.com/2019/03/13/alexander_girard_exhibition/)
ジラードはラフォンダのために内装や制服だけでなく、テーブルウェアや紙ナプキンといった細かなインテリアや道具までデザインをしました。
本当の意味でのまさにトータルデザインです。
そしてこのレストランのためにジラードはイームズ夫妻に家具の担当を依頼しました。
そうして出来上がったのが後にハーマンミラー社から「ラフォンダチェア」として発売することになるなるこの椅子と「ラフォンダテーブル」となるこの丸いテーブルです。
椅子の基本のデザインはイームズシェルチェアなのですが、背もたれをカットして低くしています。
ジラードはインテリアデザインの意図からイームズに椅子のデザインを依頼する際に”テーブルの天板と椅子の背もたれの高さが揃うように”と伝えていました。
また、この特徴的な脚はユニバーサルベースを基本にデザインされていますが、支柱を四本に分けたデザインの理由は私が知りません。
料理もラテンアメリカのものに統一しており(ジラードの妻スーザンも料理関係で貢献をしています)、レストラン自体全てのトータルデザインをジラードが請け負った当時としても画期的なデザインセンスとして話題になりました。
レストラン内は蛇口からメニューに至るまで全てジラードが手掛けることで特徴的でカラフルなデザインをしていながらも、全体を太陽に繋げる”意味のあるグループ”としてまとめ上げることで新しい価値を生み出しています。
ラフォンダデルソルは話題かつ好評なレストランとなり1971年まで営業を続けました。
ミッドセンチュリー期の名デザインですね。
ちなみにイームズ夫妻はこの時期、同じタイムライフビルディングでタイムライフチェアとアフリカンスツールをデザインしています。
コメント