– Bubble Lamp –
デザイナー:George Nelson (ジョージ・ネルソン)
バブルランプ(Bubble Lamp)とはジョージ・ネルソンがデザインをしたアメリカンモダンデザインを代表する照明の一つです。
現在ではハーマンミラー社により正規復刻され製造販売されています。
私の好きな照明ベスト3に入るほど思い入れがあるのですが、そんなバブルランプがどうやって生まれたのかネット上でもっとも詳しいストーリーを書きます。
ミッドセンチュリーモダンを代表する名作照明バブルランプの歴史
バブルランプは1952年に米国ミシガン州のハワードミラー社から発売されました。
ハワードミラー社はハワード・ミラー(人名)の会社でして、ハーマン・ミラー(人名)の義理の弟の会社です。つまりハーマンミラー社とハワードミラー社は関係が深いです。
もともとはハーマンミラークロックカンパニーだったものをハワード・ミラー指導のもと分社化して改名をすることで「ハワードミラー」という会社名になりました。(当初はハワードミラークロックカンパニーでした)
ジョージ・ネルソンの壁掛け時計「ネルソンクロックシリーズ」はハワードミラー社から発売されました。
ヴィンテージ市場がハワードミラー製なのはこのためです。
50年代当時、家具以外の製品に関してはハーマンミラー社ではなくハワードミラー社から発売をしていました。
そこで照明であるバブルランプもハワードミラー社から発売されました。
バブルランプはどのように生まれたのかは渡辺 力 著書の「ハーマンミラー物語」の内容を抜粋しつつ書きます。
それは1951年か52年の話です。
ニューヨークでスカンジナビアンデザインを扱うお店に行ったジョージ・ネルソンは、そこでスウェーデン製の照明に出会います。それは鋼線で球形を作り表面に絹を張りつけたものでした。
ネルソンはその照明に目を付けていたいたところ、後日、その照明の展示品がセールされるということを聞きつけて再度ネルソンはお店に訪れます。
しかしセール(安売り)されていたのにもかかわらず、あまりに高額だったことに若干憤りすら感じたネルソンは購入が出来ずに引き返すことになりました。
帰り道、ネルソンはニューヨークタイムズに掲載されていた客船を保存するためにプラスチックの液を吹き付けるという記事を思い出します。
すぐに自分の事務所に戻りネルソンは早速針金で球形をつくり始めました。
秘書には繊維メーカーを探させ、翌日の晩にはバブルランプの試作品が出来上がったそうです。
そして完成したバブルランプは1952年にハワードミラー社から発売されました。
売上は上々でしたが、随分と当時もコピーされまくったそうです。
コピー品対策として販売価格を下げるという苦しい手段をとってしまいましたが、それによりバブルランプに太刀打ちできなくなりコピーは見かけなくなったと当時の記事に書いてあります。
俗説みたいなものとして、”バブルランプはイサム・ノグチのAKARIを真似した”という話がありますが、正しくは、”バブルランプを見たイサム・ノグチが”自分の照明を真似された”と感じて憤慨したということを、”剣持勇に話した”というものだそうです。
ノグチの話が実際にあった話かはわかりませんが、デザインは確かに似ている部分があると思います。
ですが成り立ちや製造方法がまったく違います。
だから似ているかもしれませんが全然違う照明です。
クラフト的な工程で作られるのAKARIに対して、ID的とも言いますが工業的な工程で作られるのがバブルランプです。製造方法も考えも違うものです。
だから違うデザインです。
似ていても成り立ちや用途が違うのなら違うデザインというのが「デザイン」です。
#と井は似ていますが別物ですよね。
バブルランプはしばらくして製造が終了しましたが、それから随分といろいろあって2016年にとうとうハーマンミラー社から正規復刻がされました。
(いろいろが皆さん知りたい部分かもしれませんが、公には書きづらい話があるのでここでは割愛します。私はM社のことからすべての成り立ちを知っていますので正確に答えられます)
ところでバブルランプのデザイナーといえばジョージ・ネルソンですが、正確に言うとネルソンアソシエイツのウィリアム・レンウィク(William Renwick)が手掛けたみたいです。
あんまり情報がない人ので詳しく書けませんが、1951から57年までジョージ・ネルソン・アソシエイツの副社長でもありデザイナーだったそうです。
彼はネルソンの前にレイモンド・ローウィー・アソシエイツに在籍していました。
バブルランプのストーリ通りに考えるなら、原型をネルソン自身が作り、それを製品化に至らせるために尽力したのがレンウィクということでしょうか。
ジョージ・ネルソン・アソシエイツの珍しいと思うところは、メンバー個々のデザイナーの名前が残って公表しているところでしょう。
アーヴィン・ハーパーが特に有名ですよ。
でもバブルランプはネルソン(アソシエイツ)の作品と呼んで良いと思います。
ネルソンは人名でもあり会社名ですから。
ということで、ミッドセンチュリー期のみならず、名作照明として名高いこのバブルランプは空間のアクセントとしても優秀ですよ。
実際に使っている光景がわかるので参考になります。
シェードの柔らかさもわかりやすいです。
スタンド型のトリポッド仕様がラインナップ
脚が3本に分かれたトリポッド型も存在します。
ペンダントライトとシェード部分は共通です。
間接照明として活躍するだけでなくインテリアデザインとしても優秀です。
フロアスタンドのバブルランプもラインナップ
シェードはそのままにフロアスタンドにしたバブルランプもあります。
天井から吊るせない場所でもバブルランプを楽しめます。
なんとなく盆燈篭(ぼんとうろう/ぼんぼり)に見えるので日本の住宅や、それこそ和室に置くと素敵です。
バブルランプのクリスクロスとは
ソーサー、ボール、シガー、ペアーのみラインナップされています。
クリスクロスはヴィンテージ市場では珍しいものなので新品で手に入るのは良いことです。
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