– Eames Lounge Chair –
デザイナー:Charles & Ray Eames (チャールズ&レイ・イームズ)
イームズラウンジチェアとはアメリカンミッドセンチュリー期を代表するデザイナー「チャールズ&レイ・イームズ夫妻」によって1956年にデザインされ、当時から現在に至るまで米国・ミシガン州のハーマンミラー社にて製造発売されている同社の代表的名作椅子です。
イームズラウンジチェアはミッドセンチュリーを代表するデザインというだけでなく、その後のデザイン業界において大きな影響を与え今なお強い存在感を示しています。
この椅子のデザインストーリーから製造方法から裏話から模倣品の話まで全部します。
買った時のメンテナンスや修理、座り心地まで知ることことが大切です。
これを読めば本当のイームズラウンジチェアの魅力がわかります。
- 20世紀を代表するラウンジチェアのひとつ
- イームズラウンジチェアの素材や構成
- 19世紀のイギリスのクラブのようなチェア
- イームズラウンジチェア発売時は評価がわかれた
- 現在も続く伝統的な製造
- マリーゴールドロッジの風景
- イームズラウンジチェアのトールサイズとは
- イームズラウンジチェアのサントスパリサンダーとは
- イームズラウンジチェア&オットマン特別セットとは
- イームズラウンジチェアのブラックモデルとホワイトモデルとは
- 永く使うためにはメンテナンスが必要です
- イームズラウンジチェアの使用レビュー
- イームズラウンジチェアを映像で紹介
- イームズラウンジチェアのよくある質問と回答
- イームズラウンジチェアを購入前に気を付けることと搬入できるか問題の解答
- イームズラウンジチェアに合わせるサイドテーブルについて提案
- 最後に模倣品問題について
- イームズラウンジチェアを買うならどうするべきか
20世紀を代表するラウンジチェアのひとつ
イームズラウンジチェアはあまりにも名作過ぎる家具なので人生で見たことが無いという人の方が少ないと思います。
家具に興味が無くても映画やCMや写真作品など何処かで目にしているはずです。
一目見れば記憶に残る強い存在感を持っています。
誰が見ても重厚でエグゼクティブな外観は、憧れの名作椅子として60年以上の時を経ても今なお輝きを失いません。
最近は英語表記のEames Lounge Chair& Ottomanの頭文字をとって「ELO」と公式では呼んでいます。
イームズDSRやDCWのような感じですね。
現在はイームズ自体の評価もさらに上がったことでマスターピースとしてこのラウンジチェアは評価されています。
イームズラウンジチェアの素材や構成
本体を構成している素材は意外と少なく、成形合板(プライウッド)と牛皮革にフォームラバー、そしてアルミダイキャストベースで作られています。
このデザインで本体から脚まですべて分解も可能となっています。
修理の際にその部分だけ交換できるように合理的な構造になっているのはさすがです。見た目だけではありません。
”肘掛で背もたれを支える”という奇妙なディテールをしており、それでいてこの重厚で魅力あふれる風貌をしています。
合板とレザーでここまでの存在感、圧倒感を表現するのはまさに名作たる証です。
どこをとっても素晴らしく間違いなくパーソナルチェアの最高峰です。
19世紀のイギリスのクラブのようなチェア
イームズラウンジチェアは「19世紀のイギリスのクラブチェアを20世紀版に解釈したものと評される」と公式に説明されています。
『野球の一塁手のミットのように身体を温かく受け入れてくれてよく使われるイス』
『19世紀のイギリスのクラブでの紳士のように、男と男が心置きなく集まり談笑できる環境を20世紀の椅子としてイメージしたもの』
イームズ夫妻はこのような想いでラウンジチェアを作り上げました。
彼らの得意技術である成形合板技術を生かしてはいるものの、プライウッドチェアやシェルチェアといった今までのシンプルな家具デザインとは一線を画し、ボリュームのある豪華なデザインが人々を座りたい気持ちにさせます。
イームズラウンジチェアは発売当時の価格は$404でした。
50年前半の頃の米国はフォードの新車が$600以上という記述が残っていますので、かなり高額な椅子だったと言えます。(もしくは車が安いか)
イームズラウンジチェア発売時は評価がわかれた
現在ではこのイームズラウンジチェアは誰が見てもその重厚かつ端正なフォルムに憧れるものですが、発売時はそうではない意見もあったそうです。
渡辺 力著作の「ハーマンミラー物語」に当時の評判が書き記されています。
しかし、無条件でこの椅子に一票を投じる人ばかりではなかったということです。これまでのイームズ・チェアの、軽さ、エレガンス、シンプル、ローコストから外れているというのです。チャールズ自身は、『外づらは悪いかもしれない、しかし、多くの人たちに楽しんで使ってもらっている』といっていました。引用:ハーマンミラー物語P.120
外づらが悪い!!??なんてまさかの評価です。
現在からは考えられない驚きの話です。
そう言われるのは書いてある通りで、イームズラウンジチェアはそれまでのイームズデザインの家具に比べると突然製造コストをかけて重厚かつ豪華なデザインとなっており、ミニマルシンプルなデザインかつ一般的に手が届きやすい価格だった家具を作っていたイームズ夫妻からは真逆の存在だったからです。
それに戸惑う人たちも居たということですね。
月日が経つことで評価は高まり、いつ頃からかこのイームズラウンジチェアを所有することが一種のステータスにまでなりました。
まだ当時としてはあまりに優れすぎていたゆえに価値が伝わりづらかったのかもしれません。
家具は評価されるのに時間がかかるものです。
もちろん当時から未来を予測した評価もされていました。
現在も続く伝統的な製造
私はミシガン州のジーランドにあるハーマンミラー米国本社に行き工場でイームズラウンジチェアの製造風景を見学してきたことがあります。
上写真の場所はグリーンハウスと呼ばれる工場のエントランスです。
イームズラウンジチェアを贅沢に使ったインテリアデザインがされています。
イームズラウンジチェアは当時と同じ製法を伝統的に続けています。
プライウッドの成形から革の裁断まですべてを同じ場所で行い、木の磨き、革の縫製まで手作業の仕上げを当時のまま変わらずしています。
昔と違いコンピューターが導入されていることで効率化は図られていますが、工程一つ一つを人の手で行うというクラフトマンシップ溢れる製造は変わっていません。
50年代当時と同じ作り方をし続けています。
伝統と格式だけでなく、クオリティまで追求するラウンジチェアです。
マリーゴールドロッジの風景
イームズラウンジチェアをもっとも格好良く使っているのがミシガン州にあるハーマンミラー社のゲストハウス「マリーゴールドロッジ」です。
あまりにも素敵な空間はラウンジチェアの魅力をさらに上げています。
私がここに泊まった際はこの光景の素晴らしさに感動したものです。
過去も昔もイームズラウンジチェアは最高の座り心地を皆さんに届けてくれる最高峰のパーソナルチェアです。
2015年までは日本では日本製を製造販売していましたが現在は米国製のみです。
私は2007年からイームズラウンジチェアの販売経験があるので理解していますが両者とも違いがあります。
アメリカ製と日本製のイームズラウンジチェアは明確な違いがありますので同一仕様ではありません。
1956年の最初期に製造されたイームズラウンジチェアはウッド部分にブラジリアンローズウッドを使用し、クッション内部も半分だけフェザーを入れていました。
ブラジリアンローズウッドはワシントン条約により伐採や輸入に制限がかかったことで製造を終了しています。
ローズウッド使用のイームズラウンジチェアを求める人のために現在ではサントスパリサンダーが選択可能です。
クッション部にフェザーは入れず現在はウレタンクッションだけです。
イームズラウンジチェアのトールサイズとは
2016年にイームズラウンジチェアのヘッドレスト部分を延長した「イームズラウンジチェア トール」が発売しました。
50年代に比べて現代は平均身長が伸びたためにリデザインされたものです。
身長が180cmを超えてくるようでしたらトールも検討してください。
イームズラウンジチェアのサントスパリサンダーとは
サントスパリサンダーはサントスという港で採れたパリサンダー(ローズウッド)です。
使用できなくなったブラジリアンローズウッドの代わりに選ばれたローズウッドです。
サントスパリサンダーは木目が製造ごとに全く違います。
とてつもない斑になることもあれば、ストレートな木目だけの時もあります。その違いは選べませんが、どんな木目だとしてもサントスパリサンダーはそれが良さです。
サントスパリサンダーは希少な木材のため値段もウォールナットに比べてぐっと上がります。
イームズラウンジチェア&オットマン特別セットとは
イームズラウンジチェア&オットマン特別セットとは、チェアとオットマンがセットになりお値打ち価格設定になっています。
通常はラウンジチェアとオットマンは別売りなのですが、イームズラウンジチェア&オットマン特別セットは在庫を国内で用意をしてセット価格にすることで単品に買うより値段が安くなっているというものです。
その代わりウォールナット&ブラックレザーかサントスパリサンダー&ブラックレザーの2種類のみからしか選択は出来ません。
※特別セットは販売終了しました。
イームズラウンジチェアのブラックモデルとホワイトモデルとは
イームズラウンジチェアには「ブラックモデル」と「ホワイトモデル」という専用のカラーリングをされた仕様があります。この2つは通常は選択できない木材やカラーの選択をされています。
ブラックモデルはプライウッド部分がエボニー(アッシュ材に黒着色)になっていますがこれは通常は選択できない木材です。
ホワイトモデルはプライウッド部分がホワイトアッシュになっており、さらにベース部分が支柱と受け座まで含めホワイト塗装がされています。これも通常は選択できない木材です。
ブラックとホワイトはそれぞれ空間の調和を目指したカラーリングなので、イームズラウンジチェアながらクラシックモダンな感じを出さずに洗練されたラウンジチェアとして活躍します。
>>イームズラウンジチェア&オットマン ブラックモデル商品ページ
>>イームズラウンジチェア&オットマン ホワイトモデル商品ページ
永く使うためにはメンテナンスが必要です
イームズラウンジチェアを”一生モノの家具”として購入する人が多いはずです。
一生使いたいのなら一生使えるようにしないといけません。絶対にメンテナンスが必要です。
大切に使うのはもちろんですが、長く使えば壊れる部分や破損する部分もでてくるでしょうし、劣化する部分や汚れる部分などいろいろあるでしょう。
直しながらなんとかしながら一生使えるように頑張ります。
いつかはオーバーホールも必要かもしれませんね。
ハーマンミラー正規品を新品で購入した場合は保証が5年付きますが問題は保証が切れてからです。
ここからが勝負ですね。
いかにうまく使い続けられるか修理など出来るかが肝心です。
普段もレザーのメンテナンスが必要です。
メンテナンスの仕方や牛革はどう使っていくべきかを理解して丁寧に座り続けましょう。
参考にしてください。
(以前私が修理をしたカビてしまった上にマウントが外れたヴィンテージイームズラウンジチェア)
メンテナンスの仕方や使っていく上でのコツや気を付けないといけないことは非常に重要なことです。
せっかく買っても壊れて修理が高くつくようではもったいなさすぎます。
プロからレクチャーを受けて長く付き合えるところから買いましょう。
買って終わりではなく、その後の相談や困った時に頼る相手が必要ですからね。
この金額の椅子なのに後で相談できる相手が無いのは相当困ることになりますし、そもそも長く使えるコツやノウハウを最初に教えてもらわないとまずいです。
私は50年代のヴィンテージから現行品までの長年の経験と販売歴あるのでイームズラウンジチェアについてありとあらゆるケースを経験しています。いろんな破損を見て修理をしてどうすれば長く使っていけるかを知っていますし、ラウンジチェアでわからないことはほぼありません。
ヴィンテージの修理もいろいろ経験しています。
イームズラウンジチェアの使用レビュー
座った時の満足感はさすがです。
でもイームズラウンジチェアは使い続けることでより最高の座り心地を実感してきます。
新品の時はレザーやウレタンの張りがしっかりしているので、座り続けるごとにその人の形に馴染んでいくことでどんどん座り心地が良くなります。
長い時間をかけて自分用の椅子に代わっていきます。
新品の癖の付いていない状態で何十年も使い続けたらまさにその人の椅子となります。
イームズラウンジチェアを映像で紹介
イームズラウンジチェアを映像で紹介しました。
座り方がわかりますのでご覧ください。
身長180cmぐらいの人が座るとどうなるかの参考にもなります。
イームズラウンジチェアのよくある質問と回答
オットマンに座れる?リクライニング機能はある?クッションは外れる?などに回答しています。
イームズラウンジチェアを購入前に気を付けることと搬入できるか問題の解答
そこで動画内でどの程度の幅が搬入できるかを解説しています。
併せて設置場所がどの程度必要かなども話していますのでご覧ください。
イームズラウンジチェアに合わせるサイドテーブルについて提案
やっぱりイームズラウンジチェアの横にはサイドテーブルがあると便利です。
定番はイームズウォールナットスツールやネルソンペデスタルテーブルなどですが、他にも良さそうなテーブルやスツールを動画で提案しています。
使い心地の参考にしてください。
最後に模倣品問題について
(私がミシガン州のハーマンミラー資料室で撮影したイームズラウンジチェアのオリジナル図面です。わざと画質を落としています。)
このラウンジチェアはあまりに名作家具すぎるために模倣品も世間では溢れています。それらはリプロダクト品やジェネリック家具などと称されています。
正規品はハーマンミラー社のみです。現在も新品の製造販売を続けています。(EUではヴィトラ社もです)
まず、「イームズ」および「EAMES」は商標登録されている名称のため許可なくイームズの名称を使用して販売するなどは出来ません。商標権の侵害となります。本来はⓇマークを付けないといけません。
米国ではイームズラウンジチェアは立体商標をとっているため、見た目を真似することも商標権の侵害となっております。日本に比べて米国ではハーマンミラー社やイームズの認知度が高いためです。
つまりイームズラウンジチェアと名付けたリプロダクト品やジェネリック家具という売り方は、ブランドバッグの商標を使用した海賊品と同じですからすべて商標権の侵害をしているコピー品です。意匠権とか関係ありません。
そもそもイームズラウンジチェアのリプロダクトとかジェネリックとか高いです。
数万円から20万円とかあります。そんなお金出すなら他のデザイナーの良いラウンジチェア買えますよ。あくまでイームズラウンジチェアはハーマンミラー社の製品だけが価値があります。
わざわざ価値のない物にお金を出すなんてもったいなさすぎます。
予算内で良い別のラウンジチェアがあればそれにしたほうが良いです。
イームズラウンジチェアを買うならどうするべきか
高額な家具のため、実際購入する際にはプロとよく相談のうえプロからお求めください。
ハーマンミラー社の製品は購入店を通さないと保証も対応もしてもらえないです。
新品購入時の納品時のトラブルもありえますから、そこからしっかり対応できるような販売店選びが大切です。ちゃんと経験豊富で知識もある店(人)からがベストです。
最初からメンテナンスの仕方を聞いて使わないとラウンジチェアの寿命も縮めます。
そこでいろいろ知っている販売店を探している人には私がいますのでぜひどうぞ。
イームズラウンジチェアを日本で最もよく理解している一人ですので、答えられない疑問、質問はほぼありません。ハーマンミラーコレクションアンバサダー試験全国一位でした。
ヴィンテージから新品まで過去かなりの件数の販売と納品とアフターフォローを行っており、メンテナンスの仕方や故障の際のトラブル解決や張替えから何でも経験しています。
オンラインからご注文いただける方は下記リンクからお願いします。(レザーメンテナンスキットをプレゼントしていますので最初にラウンジチェアの保護をしていただきます)
※2ショッピングクレジット(分割払い)の利用が可能となりました。30回分割払いまで金利を無料にしています。
amazon payと楽天ペイなどの利用が出来ます。
ラウンジチェア購入後、メンテナンスや長持ちさせるコツなど何でも相談などありましたら乗ります。
受注生産仕様のイームズラウンジチェアをお求めの場合は下記へ直接ご相談ください。
【店舗情報】
case study shop NAGOYA(けーすすたでぃしょっぷなごや)
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-33-28 Uビル2F
TEL 052-243-1950
HP https://www.casestudynagoya.jp/
たまに私のお店で買っていない人からイームズラウンジチェアの質問や相談、破損や修理やトラブルについて電話やメールがあります。
結局あとで困ってしまっているわけですね・・・お察しします・・・
頼れる相手がいないとか、買った店がどうにもならないので詳しい人として私に連絡があるわけです。結構多いので売りっぱなしで放置か、そもそも何の知識もないところから買ったのでしょうね。というか知識のある人が現場で働いていることがほぼありません。
ですが私は私のお客さんしかアフターフォローは出来ません。そのため質問も相談ものれません。
恐縮ですが自分のお客さんだけで精いっぱいですのでそこはご容赦ください。
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