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家具はいつか売れるだろうと夢見て販売し続けています

家具の風景

家具はデザインやクオリティが評価されるのに時間がかかり、実際にヒットするまでには長い時間を要することが多いです。

名作家具なんて何十年も前の家具デザインなんですから、当時から大ヒットをしていればまだ良いですけど、今やっと売れるようになった家具というものもあります。

本当に気長に考えないといけない物ですけど、それをデザインの保護に関しては日本は法律が追いついていないので問題です。

 

そんな事例の一つを以前書きました。

ヒロシマチェアですね。

 

HIROSHIMAチェアの躍進で思ったこと
近年アップル新社屋に数千脚が納品されたということで話題にもなったマルニ木工のHIROSHIMAチェア。 業界内では最初から話題にはなっていたのですが、世間的に著名になったのは最近です。 家具は本当に長い時間かけて評価されるんだなとしみじみします。

 

そしてこれからの家具業界の問題を書きました。

 

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販売するほうも気長に考える

 

ヒロシマチェアの記事の時にこんな内容を書きました。

 

だから服飾や家電や車などと違って、家具はひたすら同じデザインを売り続けて、そうしていつか、いつか、いつか、花開くときが来るという世界です。

そうしてやっと売れるようになったら今度は何十年も販売し続けて不動の地位に辿りつくわけでもあります。デザインのサイクルがものすごく長いです。

常に新作を販売してその時のヒットを狙い、売れなくなったらまた次の新作や新しい製品をバンバン出してなんてことはこの家具業界ではほとんどありません。

 

特殊で難しい業界だと感じます。

 

だから家具を新たに作ったらすぐには売れないのが当たり前と考えて、もしかしたら10年後にヒットするかもと夢見て売り続けることが大切ですね。

もちろん発売したらいきなり大ヒットするのが良いことですし、そしてそのまま売れ続けるのが理想です。

 

これはなにもデザインする人、材料、工場や職人やメーカー側だけの話ではありません。

 

それは私のような家具を販売する側もそうです。

新発売した家具をお店に導入したり、新たな家具を展示販売しても途端に販売に結びつくようなものではありません。

 

ずーっとその家具の提案をし続けて宣伝をし続けて接客し続けて、やっとやっと顧客にも価値がわかってもらい販売に至るんです。

そのために家具の勉強をし続けてデザイナーの意志を読み取りメーカーの歴史や背景も調べお付き合いをし、家具の可能性を増やすためにコーディネートを考えたり良さやデメリットなども体験します。ひたすらどうやって家具を販売するかと努力します。

 

だから新たに家具の販売を始めてもいきなり売れてくれることは稀です。

よっぽど有名な家具ならありえるかもしれませんが大抵はそんなことありません。

 

だって家具ですからね。

新しくテーブルをお店で導入して販売を始めても、そもそもテーブルなんて必要じゃ無ければ購入してくれる人はいません。それがどれほど良いテーブルでもです。買い替えのタイミングなり新築や引っ越しのタイミングが必要です。

 

気に入ってもらった家具を、そのいつか購入してくれる時まで頑張って提案し続けます。

数年経ってやっと初めて売れるようになる家具もあります。そこからはコンスタントに売れるようになるのですが、そこまでがまぁ大変ですよ。

 

最近の例だとマハラムのラグですね。やっと普通に売れるようになるまで二年かかりました・・・

で、売れだしたらもう値上げですからね。マジどうかしていますよ。

このラグなんて日本で発売時にイベントに行き説明会やプレスにも参加して、展示してインターネット上や店頭で良さを伝え続けていました。半端ない労力です。

 

上質なウールの手織り絨毯「マハラムのラグ」の魅力と説明
クオリティも高く伝統的な手織りの製法であり、デザインも洗練されたラグといえばマハラムのラグです。 格好良いラグ、素敵なラグをお探しの人にはお薦めできます。

 

 

中には売れるようになるまでに体力がなくなり販売が終了する家具やメーカー自体もありますし、売れるようになった瞬間に製造上の都合で販売終了することもあります。

それでも良い物だということを伝えて提案して価値をわかってもらえるように頑張り続けないといけません。諦めたら終わりです。

 

家具は、デザイナーとメーカー、そして販売する人ともにやっと完成します。

どれだけ良い家具でも売れなければ継続していくことは難しいです。

 

今なんて実店舗で面と向かって顧客に提案するなんて超貴重な存在ですからね。

お店側が自発的に展示品を買って置いて、さらに勝手に知識を得るために勉強してくれて頑張って顧客に向けて宣伝してくれるなんて最高じゃないですか。

もう無いですよ、そんなところ。(私はやってますすけど。それにやっている人もいますし。)

もう大変なので何処もできていません。何が大変かというと”人”ですね。お店を作って展示品を置くのはお金を出せばできますけど問題は店員ですよ。そんなに熱意をもって上昇志向もあり博識な人がほとんどいません。

それに、企業としては属人的な商売は好みません。その人が辞めたら売り上げが無くなるでは困りますから。

結局今や、店舗も在庫も”コスト”と捉えてしまい、コピペの画像と説明文だけでいかに売れるかという業界にもなってきています。よく家具のことを知らなくてもポイントだとか割引だとかで訴求します。家具をよく知らないのでトラブルやクレームはつきものですけどメーカーに丸投げや無視でいきます。無責任極まりないです。

さらに売れる物を売るといった感じです。流行や売れる物中心です。そしてあとはどこかからパクったオリジナル家具を販売するだけですね。

 

私がオリジナル家具をやらない理由
よく「ショップオリジナル家具」なんてのを見ると思います。 オリジナル家具はいろいろ問題があり、私も理由があってわざとやっていません。

 

そりゃもちろん画像だけで売れるのなら簡単ですが、しかし家具と言うのはやっぱり実物と提案とコーディネート、etc.ありきでうまくいくものです。

その部分を他の実店舗に任せて自分だけ画像で売れたらという業者が増えることで、結局どこも実店舗に意義を見出せなくなり辞めていくだけとなります。

実店舗があるところに現物確認を任せて買うのはうちでなんて画像だけのネットショップは、いまたまたまそれが出来るだけなので、それで売れているのなんてこてゃ当たり前なことです。何もかも都合が良いからですから。

実店舗をやる人がそのうちいなくなるだけです。その時には仲良く共倒れですね。

 

オンラインで画像だけで買えるんだったらそれで良いでしょ!という方がいるのも分かりますが、画像だけではただひたすら家具や本物への関心が薄れるだけで、見た目さえそれっぽければ良いという流れになって行ってしまいます。物の本質を追わない人ばかりになってしまいます。画像しか見せない同士のつながりですから薄っぺらい張りぼてだって構いません。料理だって見た目重視で味は二の次。というか、味を判断できる舌も持ち合わせていません。

そうして安価で低クオリティな家具やコピー品ばかりが売れる世界になります。それっぽければそれで良しという判断の人たちばかりとなります。

有名家具メーカーだろうがコピー品ばかりの世の中になれば終わりです。だって価値を求める顧客がいなくなるんですから。

コピーしたコンテンツでも、資金力や宣伝力を持った企業は何でもできますから、そうしたところだけが勝ち残る歪んだ社会です。そして誰も本質を追わなくなりオリジナルを作らなくなります。終焉。

 

この流れは新進気鋭のデザイナーや家具メーカーほどどうにかしないといけないことです。

だから若い人が問題だととらえて行動をしないと自分の首を絞めることになります。

 

家具を販売する私のような存在はデザインとユーザーを繫ぐ翻訳者のような存在です。

この中間がいなくなるとデザインを理解してくれる人が少なくなってしまいます。

価値を伝えるということが今は希少です。

 

もっと先を見て商売を出来たら良いです。

 

刹那的な商売は未来がありません。

 

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