– Riki Mobile –
デザイナー : 渡辺 力 (Riki Watanabe)
日本のプロダクトデザインのパイオニアである渡辺 力 氏はさまざまな製品をデザインしていました。
それだけでなくホテルやショールームに飲食店などの設計・内装も手掛けており、そうした場所ではインテリアデザインとして天井から吊るしてゆらゆら動くオブジェ「モビール」もそのために都度作っていました。
現在それらのモビールを㈱メトロポリタンギャラリーが正式に製品として製造して販売がされています。
渡辺力のモビール達
こちらは現在「リキモビール ミヤマ」として製品化され販売されている力 氏がデザインをしたモビールのオリジナルヴィンテージです。
1983年に東京の新宿京王プラザホテル内の日本料理店「みやま」を力 氏が手掛けた際にインテリアデザインとして作られたものです。
ご覧のようにオリジナルの原型は6枚の杉板で構成されており、天井が高く広い空間にはその存在感を発揮していました。
川を泳ぐ小魚がモチーフになっています。
2011年に渡辺力氏が100歳を迎えたことを記念してリキモビールとして製品化する際に最初に選ばれたデザインです。本人監修により製品化されました。
その際に家庭向けにモビールの数を3蓮と4蓮にしてオリジナルより数を少なくしました。理由は簡単で6蓮を吊るせるような空間は少ないからです。
このモビールは力氏が『私の夢そのもの。微風で軽やかに動く』とコメントを残すほどの存在です。
似たデザインで銅板で作ったモビールも存在します。
こちらは私もどこで使われたものかは忘れました。すみません・・・曖昧なサイトで・・・
これはかなりブルーノ・ムナーリの影響を受けていると思われます。
ムナーリの「役に立たない機械」にそっくりです。銅を使ったところが力氏っぽいです。
銅板と言えば製品化された「リキモビール シャンブル」です。
これは1976年に新橋第一ホテルのバー「シャンブル」のインテリアデザインを手掛けた際に作られたモビールです。
銅は力氏がもっとも愛した素材であり内装にも銅を上手く使った設計をしていました。
このモビールに限らず銅を使ったプロダクトがいくつもあるのは彼の好みでもあったからです。
イームズ夫妻に贈った時計も銅フレームの時計でした。
色々なモビールをつくった中でこのような複雑なデザインも存在します。
この何とも形容しがたモビールは1975年に北海道立近代美術館で開催された展覧会のために作られたもので、それを京王プラザホテル2階のバー「ブリアン」が30周年を迎えたことで氏が同バーに寄贈をしたという経緯をもちます。(ブリアン自体も力氏の設計)
2004年にはアウラコレクションから製品化されますが現在は製造されていません。アウラ自体終了したっぽいです。昔取引していたのですがいつのまにやら無くなってしまいました。
先述のコメント『私の夢そのもの。微風で軽やかに動く』ですが、モビール ミヤマのコメントに使われているのを見ますが、彼の著書によると実はこちらのモビールについて書いているようなんです。
どちらが正しいのかは不明です。
モビールというと北欧デザインばかりが注目されがちですが、日本の木材を使った洗練されたデザインもありますのでこちらにも注目してもらえると良いですね。
そもそもモビールはカルダーから始まったものですし。
他にも力 氏のモビールは存在しますが、また新たに掲載できる写真があれば加筆していきます
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