– IN ATTESA –
デザイナー:ENZO MARI (エンツォ・マーリ)
ゴミ箱にも名作があるかというと難しいですけど、これは名作ゴミ箱と呼んで差し支えないでしょう。
それがエンツォ・マーリが1971年にデザインをしたインアテッサ(IN ATTESA)です。
単純にゴミ箱を斜めにしただけの構造ですが、よく考えられたデザインです。
斜めに自立するゴミ箱
インアテッサは「ゴミ箱は直立している」という概念を取り払ったデザインをしています。
斜めにカットされたデザインは座った状態でもゴミを投げ入れやすいためです。
斜めの口がゴミを入れやすくしています。まるでゴミ箱自体が受け止めてくれるようです。
見た目を個性的にしたり、形を複雑にすることがデザインではなく、目的に合わせて形状を形作られたフォルムは、デザインとは何かを訴えかけるようです。
斜めですがしっかりバランスよく自立しています。
斜めに自立させるバランスが計算されたデザインという部分は評価ポイントです。
よく見ると口の部分は少し広がっています。よりゴミが入りやすいようにです。
実際に使うと斜めになったゴミ箱は非常に使いやすく、デスクの下に置いておくと便利なことこの上ないです。
斜めにするだけという本当に僅かなことかもしれませんが、これを1971年に現実のデザインとして形作ったというのはすごいことです。
時代的に装飾華美で夢の形を追い求めたデザインが出て来た中にこれですから、この時点でデザインの本質に目を向けているのは目の付け所が違います。
筒状を斜めにカットした構造は、マーリが60年代に作っていたバンブー(BAMBU)を思いだします。
バンブーはアートでもあるプロダクトでしたが、これを日用品であるゴミ箱へと姿を変えたようにも見えます。
1977年にはインアテッサを直立にしたコロ(KORO)を発売しましたが、これは・・・ごく普通のウェストバスケットなので特に感想はありません。
これなんでつくったのでしょうかね。
もしかしたら当時はプラスチック製の普通のゴミ箱すら珍しかったのかもしれません。
今は普通の筒状のゴミ箱は大量生産で超安いですから役割は終えた気もします。
話も戻りインアテッサにはアタッチメントが別売りで存在することでゴミの分別にも対応しています。
丸洗いできるゴミ箱なので衛生的です。
IN ATTESAという名称ですが、イタリアにAttesaという地名があります。
マーリは製品に地名を付けることが多いため、これも地名から名付けられたのではないでしょうか。
インアテッサ。アテッサにて。
当時の発売はイタリアのダネーゼ(DANESE)で、現在も同じくダネーゼが製造販売をしています。
プラスチック製品を大量生産しないところがダネーゼのフィロソフィーでもあるため、ダネーゼの製品は価格だけで判断するものではなく、そのデザインの意味を感じデザイナーの作品として使うアートでもあるプロダクトです。
私はダネーゼの製品は「使えるアート」だと認識しています。
ということで長年販売し続けられていますし、これが名作ゴミ箱と呼べるのではないでしょうか。
>>【DANESE/ダネーゼ】 In Attesa インアテッサ ウェストバスケット販売ページ
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