さて、消費者還元制度が始まって早二ヶ月弱。
自分のお店が消費者還元対象店舗なので現場でお客さんと話をしているとわかることがあるのですが、確実に言えることは一つ「消費者還元がどのような制度でどうすればいいのかわかっている人はほとんどいない」ということです。やっぱ内容までは理解されてませんよね。
ということで始まった消費者還元制度ですが、これはキャッシュレスを推進するためにも始まった政府主導のキャンペーンでもあります。このままキャッシュレスな社会にしたいわけです。
実際にキャッシュレスが普及するかは分かりませんが、仮にこの世の中が現金を扱わずにキャッシュレスだけになった場合に店舗の経営はどうなるでしょうか。
現金を扱わないということはお店としてそれはそれでメリットもあります。デメリットももちろん。
考えてみたので書いてみますね。対象は小売り、飲食、サービス業です。
キャッシュレスによるお店のメリット
- 現金を入れるレジが必要ない
意外とスペースをとるのが現金を入れるレジ機械です。
これを設置するレジカウンターが必要となるため店舗レイアウトに制限が出来ます。
これを置くスペースが無くなるとスペースも少し広くなります。
※キャッシュレスでもPOSシステムや端末を置くと場所をとるのは一緒ですけど。
- お釣りが必要ないのでレジにお金を用意する必要がない
まあ大した額じゃないですが、お釣りとしてレジに現金を入れておかないといけません。
これに関連してお釣りのために小銭から両替をして準備をしたりする手間が無くなります。
これ路面店とかだと銀行に行かないといけないので面倒なんですよ。
- 現金を預け入れに行かなくて済む
売上現金は必ずどこかに預けないといけません。
デパートといったインショップ※なら管理室へ、路面店なら自前の金庫か銀行に預け入れに行きます。
これを毎日しないといけないので地味に時間をとります。
自前の金庫を設置する場合は動かせないような大型のセキュリティ性の高いものにする必要がありますから、単純にそれの購入費用とスペースと盗まれないような対策も必要です。
※商業施設内の店舗のこと
・お釣りの渡し間違いがない
現金を人力で数える以上、売上金の貰い間違いやお釣りの渡し間違いがあるものです。
レジ金の誤差は締めをする際に厄介な確認作業なんですよ。
それが無くなります。
最近は自動でお釣りが計算されて出てくるレジもありますけどね。
- お金を触らないのである程度清潔
特に飲食店でしょうね。
現金を触って食べ物も触るというのは気になる人もいます。
物販でもお金を触りまくった汚れた手できれいな服とか触ったりも気になりますしね。
- 従業員の盗難防止
従業員に任せている店舗だと起こり得るのがレジ金や売り上げの窃盗です。信じていても人はわかりません・・・まさかあの人が・・・ということがあります・・・
監視カメラを付けたりしないといけないので、そういった諸々の従業員の不正対策にかかる費用がありません。さすがにキャッシュレス設備をハッキングしてまで盗むのは難しいでしょうからね。
- 現金を出してもらうよりキャッシュレスの方が決済されやすい
ちょっとした買い物の場合、スマホやカードですぐに済む場合はそちらの方が販売ハードルが下がります。
『財布を出して現金まで出して買うのは面倒だな・・・』という人はいますからね、そうした買いやすさはキャッシュレスです。
- 現金の持ち合わせがない人でも買ってくれるかも
もともとクレジットカードのメリットはこれですね。
10万円の物を買いたくても10万円を財布に入れていないと買えません。だからクレジットカードが必要なんです。
高級なアパレル店で衝動買いするときなんかはクレジットカードです。
店としてはその場で決めてくれる方が良いものなんです。考える間もなく買わせて帰らせたい!というのが本音でしょう。店員に売り上げ歩合報奨制度が採用されている場合はまさにです。
- 外でも決済できるようになる
今までは現金をたくさん持っていないと外で出店や出先で決済は難しかったですが、キャッシュレス対応端末さえ持って行けばそれでお店が出来るようになります。
外でコーヒースタンドやるのにアイパッド一つで全て済むのはITの進化ですね。
メリットとしてはこんなところですか。
じゃあその逆のデメリットはこれですね。
キャッシュレスによるお店のデメリット
- キャッシュレス利用にはお店負担の手数料がかかる
もうこれが最も大きな問題ですね。
クレジットカードから始まったキャッシュレス決済は使用されると店側に使用手数料の負担金が発生します。
数%ではありますが積み重なると大きな金額となります。(これは国によります。日本ではクレジットカードを使われた側が手数料を負担します。つまり店側)
薄利の飲食店ともなると手数料が致命的です。
この店側が手数料を負担がある限りはキャッシュレスが普及しづらいです。
ちなみに私自身は手数料は気にしていません。
手数料は私が現金を預け入れしに行かなくて良いといった手間が無い代として考えています。
- お店に売り上げが入金されるのが遅い
キャッシュレスでの決済はその場でお店側の手元にお金は残りません。決済の事実だけで口座にお金が振り込まれたりはしません。
だからどれだけキャッシュレスの利用があっても店側には一円も残りません。
お店の口座に入金される期間は条件により様々です。
月に一回、締め日でまとめた額の入金がされるのか、月6回に分けて入金してくれるけどその代わり手数料がさらに高くなるなど選択肢があります。
売上金を使ってそのまま仕入れや運営をするような業種だとお金が入ってこないので苦しくなります。
どれだけ売れてもお金が入ってこないのに、お店の運営や人件費や仕入れでどんどん出ていくといった状態になります。キャッシュフローで回せなくなる。潤沢な運転資金が無いと倒れちゃいます。
- キャッシュレス手段が細分化しすぎていて全部用意できない
クレジットカードも種類があるのですがこれはお店で全て決済できるようにするのはそこまで難しくなりません。私もやっていますし。
問題はIC系や○○ペイみたいなサービスです。
多すぎますよ。
次々にキャッシュレスの覇権を狙ってどんどんサービスが生まれています。自分たちが元締めになったら天下を取れるからです。
おかげで訳の分からないぐらい決済方法が増えたので全部用意するのはもう現実的ではありません。
大手ぐらいでしょうかね、全部のサービスを導入してそれ追えているのは。
こんなところでしょうか・・・
あ、あともう一個ありました。デメリットとして書くべきではないのですが、一応デメリット扱いにしておきます。
- 脱税しづらくなる
現金商売は売り上げを抜いたり誤魔化したり消したりできますし、その辺は曖昧でも人や税務署からはわかりづらいですからね。
売上を現金でもらって、それを抜いたり誤魔化したりして隠しておいたら貯めこんでおけます。
当然、売り上げを誤魔化したり隠したりするのは脱税です。根本的に犯罪です。
だからデメリットとして入れるのはおかしいとは思うんですけどね・・・
中にはこれで儲けているお店もあるでしょうからそういったところにとってはキャッシュレスは大きなデメリットです。儲けてるって不正ですけどね。
・・・あ!いや!もちろん私はしていませんよ。勘違いされると困りますよ!
全然脱税していませんし、むしろこの家具販売業でどう脱税をするのか。
現物商売ですから架空の売上を上げられませんし、売り上げを無かったことにして消すこともできません。売り上げ消しても商品が納品されているので数字が合わなくなります。
どちらかというと『ここまでちゃんと帳簿を付けて領収書やらの保管までしている方が珍しい』と褒められるぐらいですから。
ちゃんとこう書いておかないと。勘違いされるとものすごい困ります。
ということでお店によるキャッシュレス化によるメリットとデメリットでした。
なんとなく読んでもらえたらそれでいいですよ。
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