これは1962年にハーマンミラー社がリリースしたビジュアルです。
広告だったかもしれません。
ビーウェア・オブ・イミテーション
なにを宣伝しているかというと”BEWARE OF IMITATIONS”と注意喚起をしています。
つまり翻訳すると”模倣品に気を付けてください”です。
“LOOK FOR THIS MARK”と上部に書いてある先はハーマンミラー社のロゴマークです。
ロゴマーク見たら正規品か分かるよ!ということですね。
イームズデザインの家具はこの年代からもう早速コピーされまくっていたということです。
イームズラウンジチェアなんかは1956年ですから、発売されて早々に真似されていたわけですね。
そこで対策の一つとしてハーマンミラー社は上記のような宣伝をしたんだと思います。
ロゴマークさえ見れば判断は付くはずですからね。
さすがに”Herman Miller”という表記を模倣品には入れないはずです。
これは現代も同じですね。”イームズ”は模倣品の名称に使いますが、”ハーマンミラー”は使いません。(北米でハーマンミラーレプリカファニチャーという名称を使っている会社があるのは知っていますけど)
イームズのプロダクトは優秀ですから、こんな古くからハーマンミラー社は模倣品に頭を悩ませていたということでしょう。
そして現代までも続く問題です。
ところで北米では日本と事情が違う部分があります。
日本では模倣品はジェネリック家具とかリプロダクト品といった名称を使って販売されています。意匠権が切れているとかライセンスが切れているとか訳の分からない説明をして販売されていますよね。
ライセンスって何のことを差しているのでしょうか?
でもニューヨークでとある有名家具屋の人に聞いたら「北米ではそんな売られ方をしているのは聞いたことが無い」と教えてもらいました。日本語が通じる人だったので翻訳違いではありません。
北米ではただ真似して作ったレプリカとして販売しており、売る側も買う側もレプリカはレプリカとして売買しているそうです。そういうものという認識。
日本では「正規品は存在しない」ぐらいまで説明して模倣品を販売しているサイトがありますが、北米でそのような錯誤させるような売り方をしていると訴えられるリスクが高まるからでしょうか。
実際イームズオフィス(チャールズ・イームズの孫が代表)は日々裁判をしており、昨年だとアメリカのとある会社が製造しているイームズラウンジチェアの製造を差し止めたり、イタリアのイームズアルミナムチェアの模倣品を作っている工場も差し止めしたりしたそうです。
優秀なデザインを作るということは模倣品との戦いでもあるわけです。大変ですよね。
模倣品問題は最終的にはモラルや倫理の話になるので、正規品の価値を知ってもらい家具の素晴らしさをわかってもらえると嬉しいです。
まあ”イームズ”という名称自体商標登録されていますから勝手に使って商売しちゃダメですけどね。
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