アントチェアのストーリーと真のデザイナーはヤコブセンではない?

新宿の損保ジャパン日本興亜美術館にて11/23から開催されている「デンマーク・デザイン」展に行ってきました。 その感想とゴッホの”ひまわり”が展示されている素晴らしさも堪能しました。

デンマークデザイン展の感想に関連してとある家具について書こうと思いました。

アントチェア

デンマークデザイン図録

こちらはアルネ・ヤコブセンが1952年にデザインしたアントチェアです。

超有名な北欧を代表する椅子の一つです。セブンチェアの前身になったような椅子ですね。

展示の説明ではこのように書かれていたので一部抜粋します。

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アントチェア(Ant Chair)

製薬会社ノボノルディスクの新築工場の社員食堂のためにデザインされたスタッキングチェアである。

それはデンマークで初めて大成功を収めた大量生産の椅子であり、また座と背が一体となった最初の椅子である。

アントチェアのデザインは、アルヴァ・アアルトやチャールズ&レイ・イームズといったデザイナーたちが成形合板の椅子によって打ち出した、国際的な新趣向に着想を得たものであった。

そうですね、これがアントチェアの説明です。

もう少し私が説明します。

そもそもこのデザインになったのは強度の問題があったからです。

当時の成形合板(プライウッド)技術では、背と座が一体になった9枚のべニアを合わせた構造では、力がかかる部分にクラック(ヒビ、割れ)が入ってしまいました。

それが背と座を繫ぐカーブした部分です。そこの部分を削っていくうちに、たまたまこの形が生まれ、表面のクラックを隠すために黒く塗っていました。

それを見た職人が、「蟻みたいだね」といったところからアントチェアという名前が生まれたと言われています。

最初は3本脚だけでしたが、ヤコブセン死後に4本脚が作られるようになりました。

どうして3本脚だったかというと、人間が座ると足が2本増え、合わせて脚が5本になり安定するからという理論です。

実際は安定感の問題から4本を作ったのですが、ヤコブセンが存命のうちはしませんでした。

当時も今もフリッツハンセン社が製造販売をしています。正規メーカーももちろんフリッツハンセン。

ここまではわりと知られているストーリーだと思います。

ここからは知っている人はほとんどいません。

このアントチェアをデザインしたのがヴァーナー・パントン説があります。

パントン自身のことは、あまりよく知られていません。情報も少ないので珍しい内容になったと思います。 以前まではヴェルナー・パントンという表記でしたが、最近はヴァーナー・パントンになっていますよ。

これはデンマークのヴァーパン社のディレクターから聞いた話で、パントンは1950年から数年間ヤコブセンに師事していました。確かに年数は被ります。

そうして考えると、アントチェアの奇妙な見た目はパントンがデザインしそうなビジュアルです。偶然出来上がったこの見た目が、意図してパントンがデザインしたように見えます。

パントンのデザインの特徴は、カーブを描いた特徴ある見た目ですから。

本当かどうか、真相は不明です。

でもヴァーパン社には監修としてマリアンヌ・パントン(ヴァーナー・パントンの妻)がついていますので、ヴァーナー・パントンの情報は最も正確なはずです。

仮にパントンがデザインしたとしても、その事務所からリリースされたものは代表であるヤコブセンのデザインとなります。だからヤコブセンのアントチェアに間違いはありません。

家具一つに多くのストーリーや逸話が残っている物ですよ。

私、北欧のデザインは専門じゃありませんが、このぐらいのことは頭に入っていますよ。名作家具のことは大体知っています。

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