世の中には名作家具と呼ばれる長い間評価され続けている家具たちがあります。
写真のイームズラウンジチェア(Herman Miller社)もその一つです。
チャールズ&イームズがデザインをし、1956年からずーっと作り続けて販売しているプロダクトです。
このような名作家具はデザインを変えずに製造をし続けていますが、細部の仕様や素材の変更などは絶えず行われています。
例えばこのラウンジチェアの場合、年代ごとにプライウッド(成形合板)の積層枚数が違います。
現行品が一番分厚いんです。つい最近も積層が一枚増えましたね。
理由は簡単、耐久性のためです。分厚い方が頑丈です。
これにより、現行最新の新品と50年代のヴィンテージ品を見比べると、佇まいが違って見えます。ヴィンテージの方が華奢に見えますね。実際プライウッドが薄いんですけど。
変えるべきところは変えるのが名作家具
当時のままのデザインや作りでも、変えたほうがより良くなる部分は変えているんですよ。
だからそういう意味では当時のまんま作り続けているわけではないんです。
守るべきところは守る。変えるべきところは変える。
そこら辺は柔軟が健全かなって思います。
それに、接着剤やネジの品質も良くなっていますので現代で製造している家具の方がクオリティが高くなります。
良くなるとは別の部分の問題で、昔は手に入った素材でも現代では入手が難しくなった素材なんかがあります。
多くは木材ですね。
このイームズラウンジチェアもリリース当初はプライウッドにブラジリアンローズウッドを使用していたのですが、現在ではワシントン条約により輸入規制があり容易な木材ではありません。
そこでハーマンミラー社は同じローズウッドである”サントスパリサンダー”という木を使用しています。こちらも木目が美しく良い木ですし、高価な木材です。
名作家具は思考停止で同じものを作り続けているのではなく、絶えず改良され現在まで安定した供給がされるように努力がされているわけですよ。
ヴィンテージと現行品の違いを比べるのなんかも面白いですよ。
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