ミッドセンチュリー期の名作家具の一つといえばイームズ夫妻によるシェルチェアです。
おそらく見た目はこの日本で最も知られているミッドセンチュリーデザインだと思います。
そんなイームズシェルチェアですが、”DSR”や”RAR”などアルファベットの並びで製品の個体を区別しています。
これはハーマンミラー社が昔からカタログに掲載している品番表記方法で、それが現在までも使われておりヴィンテージや新品を問わずに製品の呼称として使われています。
例えばよく見るこのサイドシェルチェアにワイヤーベースが付いた仕様をDSRと呼びます。
このDSRはパーツの特徴の頭文字をとって名付けています。
Dining Side Rod の頭文字をとってDSRです。
(正しくはDining-height Side-shell Rod-baseです。)
理屈がわかると簡単に覚えられます。
ちなみに、この形の脚をエッフェルベースと呼んでいるいる人が多いですが、エッフェルベースは俗称でして、本当の名称はワイヤーベースです。
でもどっちの名称でも通じます。
じゃあ脚が木製のこれは何かというとDSWと言います。
DSWのWはWoodです。木製の脚だからです。簡単。
Wood-baseですが、脚自体の正規氏名称はダウェルベースです。ドーウェルベースでもよいです。英名はDowel-baseです。Dowelは目釘とかダボって意味ですよ。
DとSはDiningとSideなのでDSRと考え方は一緒。
この特徴的な脚はDSSです。
DSSの最後のSはStackingです。
Stackの現在分詞でStackは積み重ねという意味があります。
このシェルチェアは上に積み重ねすることが出来るコントラクト向けの脚です。
DとSは言わずもがな。
今度の肘掛付きのアームシェルチェアはDAWです。
急にAが出てきました。AはArmの頭文字です。
Dining Arm-shell Woodの頭文字をとってDAWです。
考え方はサイドシェルと同じです。それがSideかArmかの違いだけです。
じゃあイームズワイヤーチェアはなんでしょうか。WireなのでWが入るのでしょうか。
しかし違います。正しくはDKRです。
Kの欠片も無いのでどこから出てきた頭文字かと言いますと、KはK-wireの略です。
ワイヤーチェアはアームシェルが存在しませんのでSやAは省いています。それでDining K-wire-Rod-baseです。
シェルチェアに限りませんが、イームズ製品の多くはこのアルファベット表記で表します。
HIAとかESUは製品名の短縮です。Hang It AllにEames Storage Unitですね。
LCWはLounge Chair Woodだったりと、基本的な考え方はどの製品でも同じです。
もしアルファベットの並びを忘れた時は、見た目から推察すると思いだせますよ。
コメント
冒頭の写真に写っているテーブルの名前はあるでしょうか?
ネルソンエックスレッグテーブルです。
https://ogitaka.com/2018/12/18/nelson_x-leg_basetable/
参考にどうぞ。
ご返信ありがとうございました。