現在この日本の社会には有名デザイナーの名作家具をコピーした模倣品が多く存在します。
それらは「リプロダクト」や「ジェネリック」などといった名称で流通しています。
いわく、”古いデザインは意匠権が切れている”とか、”ライセンスが無い”とか、いろんな理由を付けて模倣した家具を製造販売しています。意味がわかって販売しているのでしょうか?
これらの模造品については多くの問題をはらんでいます。
リプロダクトは問題のない品だと思い込んでいる人は必ず以下のリンクをご覧ください。
例えば”イームズ”は商標権の侵害ですから違法なコピーです。
リンク先を読むのが面倒という人のために簡単に概要を説明すると、
・意匠権が切れているかどうかは重要ではない
・イームズは商標登録されている名称のため、許可なく販売方法や商品名などに使うことは商標権の侵害。(ヴィ○ンがデザインした鞄のリプロダクトですと言っているようなものです)
・不正競争取引防止法に関係してくる
です。
意匠権が切れているとか言いながら最近のデザインをコピーしていたりするのはどういった理論なのか教えてもらいたいものです。私が知っている中で最も最近のデザインは2011年のヴィトラ社のベジタルチェアです。
そもそも海外の家具なんですから意匠登録が日本でされているのかって話です。
今回は”リプロダクト”と”レプリカ”という名称の本当の意味と使い方を書きます。
(ジェネリックは医薬品から始まった表現なので今回は説明から省きます)
本当の意味でのリプロダクトとレプリカ
この”リプロダクト”や”レプリカ”ですが、現在は本来の意味で使われていません。
この画像(雑誌のスキャン)をご覧ください。
14年ぐらい前の「モノマガジン338号」です。
”レプリカとオリジナルが錯綜する混沌の世界で遊ぶ”とコピーが打ってあり、”C.イームズのチェア”と様々なイームズチェアの情報が載せられているページです。
”レプリカとオリジナル” 果たして何と何のことを言っているのでしょうか。
この部分を拡大して見てみましょう。
”レプリカ(リプロダクト)にはハーマン・ミラーのロゴがみえる。”
そう書かれていますよね?
「レプリカやリプロダクトがハーマンミラー??え、どういうこと?ハーマンミラーって正規のメーカーじゃないの??」と混乱する人が多数だと想像します。
ですが、これが正しいレプリカとリプロダクトの使い方です。
この雑誌に限らず、当時はリプロダクト=正規メーカーの復刻品のことを指していました。
リプロダクトは、Re-productなので、復刻や再生産という意味が強いです。もう一度製品にするということですから。
リプロダクションも同じような意味です。Re-productionです。
例えばハーマンミラー社も同じ製品を最初から途切れずに生産し続けているものは少ないです。あの有名なイームズシェルチェアの製造も80年末に終了しています。
それから復刻販売を始めたのが90年代に入ってからでファイバーグラスシェルチェアが復刻したのは2013年のことです。(90年代の復刻製造をしたのはヴィトラ社)
だから最初にシェルチェアが復刻した時も”リプロダクト”と呼んで表現していました。それが一般的でした。
レプリカもよく使われた表現です。
”レプリカ”も正しい意味は、”オリジナルの製作者自身が作ったコピー品”です。
だからオリジナルメーカーが作る復刻品はレプリカで正しいです。復刻品は正しくはレプリカなんです。
オリジナルメーカー以外がライセンスを受けて復刻する方はリプロダクトという呼び名が近いでしょうね。
10年ぐらい前までは正規品を販売していた私もリプロダクトという名称を使って販売していた記憶があります。
あくまで”オリジナル”はヴィンテージの当時物のことを指しました。
そう、”リプロダクト”や”レプリカ”は、本来正規のメーカーが復刻した製品のことなんです!
が、今となってはご存知の通り、リプロダクト=非正規品のことを指すように取って代わられました。その名称を非正規品を売る者たちに都合良く使われだしたんです。
だから現在では正規品のことをリプロダクトとは呼ばないようにしています。イメージが悪いからです。そして正規品のことをオリジナルと呼ぶようになりました。(これは私は違和感があります)
でもこれは日本の話です。
本国では復刻品のことを普通にReproductやReproducthinと表現することがあります。
それ以前にイームズの話をするのなら、米国でも”EAMES”は登録商標されていますから使用するとまずいです。何かあればチャールズの孫が代表を務めているイームズオフィスやハーマンミラーから連絡が来るでしょうね。(日本も先述の通り商標登録されています)
実際、イームズオフィスは日々裁判をしているそうです。米国内やイタリアの工場なども相手取っているそうです。
イームズラウンジチェアなんかは米国で立体商標の登録がされています。すごいことです。
つまり、見た目形も模倣してはいけないということです。
ようは日本では模倣品を放置されているだけですから、リプロダクト品やジェネリック品が正しいものではありません。
ブランドバッグや服のリプロダクトとして売っている物があったら買うのかって話です。それと家具のリプロダクトは同じようなものです。
リプロダクトとレプリカの本来の意味がわかりました?
もはや使い方は直せないと思いますので、知識として知っていてもらえると良いです。
ちなみに雑誌でアンティークと書かれているのは誤用です。
コメント
意匠権が切れているかは問題ではないなど、法律を軽視するような書き方は改めてください。
自分が好きな家具や業界、ブランド等権益を守りたい間違った考えを恣意的に広めているのは悪質ですよ。
オリジナルを作った人、会社が不利益を被るから法律関係なしに保護しないといけないっていうのは、おかしな話です。
イームズチェアは商標権侵害、ベジタルチェアは意匠権が登録されていれば権利が消失する前に不正に使われているということになるかと思います。
ただ、意匠権がないものは保護しようがないと思いますが。
日本ではなかなか著作物として認められないので、著作権も難しいかと思います。