テレワーク/リモートワーク需要の増加に伴い、作業用の椅子に関心を向ける人も増えました。
長時間の座り作業は腰や背骨を傷めるリスクもあり、それでなくとも座り続けることで身体の各部の痛みや筋肉のコリなど悩まされている人も多いでしょう。
”どこかに座っていても快適な椅子が無いかな”と思うところですが、快適な椅子というと車のシート(座席)を思い浮かべる方も多くいらっしゃるでしょう。
車を運転するとなると何時間も連続で座り続けても大丈夫だったりしますし、助手席や後部座席で長時間座っていても、むしろ気持ち良くて寝てしまうことも。
車のシートは人間が長時間座ることを目的として開発されているので、それなら車のシートをそのまま椅子にしたら完璧ではないかと考えますよね。
車のシートをそのまま椅子にしたような椅子もいろいろ発売されています。
ですが、車の座席をそのまま椅子にしても乗車時と同じような座り心地は得づらいです。
その理由を書きます。
車のシートは座席のみの良さではありません
以前から私は自動車のシートを製造する会社と仕事をしているのですが、担当者と椅子の製造やデザインについてもたびたび話をしています。
すると話題に上がるのが自動車のシートをそのまま椅子にすることについてです。
これに関しては、車のシートをそのまま椅子にしても快適さは得られづらいというのが私と一致した回答です。
どうして車のシートに座っていると快適なのかというと、もちろん椅子自体の形状もありますが、それよりも「振動」があるからです。
まず、運転している状態は腕を動かしていたり足でペダル操作をしますから身体は固定されていません。
視線も正面を見ますから頭が前に落ちて猫背になりづらいですし、前後左右を安全確認のために首を動かしますからそれ自体が運動になっています。
座席に座っていても身体は固定されず常に動き続けているので、筋肉や血流も静止状態より動いています。
それなら運転をしない助手席や後部座席はどうして座り心地が良いかという話ですが、そもそも車自体が「振動」しているのが要因となっています。
走行時は道路の起伏やカーブにより細かく上下左右に揺れたり、振動をし続けることで座っていても細かく身体が動いています。
加速や減速のGにより身体の動きもありますので、助手席/後部座席も身体が静止していません。
つまり、車の座席に座っている状態は常に細かく身体が動いているということです。
人間は動くことで健康を維持できる生物です。
そこで車自体の振動や加速/停車時のGは身体の動きを促進してくれます。
だから車の座席は心地良いんですよね。
その為、車の座席をそのまま椅子にしても、固定されたただの椅子となるので乗車時と同じ快適さは得られません。
座っていても身体は振動しませんしGも揺れも感じません。
常々わたしもここで書いているのですが、先述の通り人間は身体を動かすべきですから、椅子も身体を動かしてストレッチできるデザインが良いわけです。
身体を長時間固定せず動かすことで血流を良くして筋肉のコリをほぐします。
それこそが長時間の座り作業に必要な要素の一つです。
ということで、車のシートをそのまま椅子にしてもうまくいくとは限らないという話でした。
車の座席をそのまま椅子にしたら良いのでは?と考えている人には参考になったのではないでしょうか。
あれですかね、それならマッサージ椅子に座って作業したら良いってことになるのでしょうかね。
・・・なるんじゃないでしょうか?ただ、もたれてマッサージを受けているのでデスクワークはしづらいでしょうけどね。
前傾姿勢をするとマッサージ機能が使えなくなりますし。
やっぱりマッサージチェアはマッサージするようですね。
今回の更新ですが、何かを否定するつもりの目的では書いておりません。
あくまで参考に。
ご容赦ください。
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