ハーマンミラー社のヴィンテージのイームズシェルチェアではよく見かけるのが「ナウガハイド張り」と呼ばれる合皮を使った仕様です。
一見本革のように見えるのですがビニールレザーです。
どうして「ナウガハイド」と呼んでいるかというと、「ナウガ」という架空の生物の革を使っているという設定のビニールレザーだからです。
ナウガという生物の革を使ったイームズシェルチェア(という設定)
「ナウガ(NAUGA)」は米国インディアナポリスのユニロイヤル社が販促のために作ったキャラクターで、ビニールレザーをより世間へ馴染みのあるものへと定着させるために”動物を殺傷しなくてもナウガという生物が脱皮をすることで手に入るナウガハイドと呼ばれる良質な革”という宣伝を行いセールスをしていました。
もちろんナウガは架空の生物ですよ。
ホースハイド(馬革)、カウハイド(牛革)という呼び名に倣ってナウガハイド(NAUGAHYDE)と名付けられました。
もしくはナウガレザーという呼び方もしました。
ハーマンミラー社は80年代までユニロイヤル社と取引をしており、イームズシェルチェアのビニールレザー張りにはナウガハイドを使っていました。
サイドシェル、アームシェルともにナウガハイドが使われていました。
ナウガのストーリーがキャッチーで面白いもののため、それが使われたイームズシェルチェアも宣伝としてナウガハイドを使っていることをアピールしました。
そうしてイームズシェルチェアのビニールレザー=ナウガと定着したわけです。
ナウガのイームズシェルチェアはメンテナンスがしやすくコントラクト環境では受けが良かったため、多くの台数が市場へ流通しました。
そのため、一時期ヴィンテージのイームズシェルチェア市場の中ではナウガレザー張りは本当に数が多かったためダブついて値段がものすごく安かったことがあります。
今はヴィンテージシェルチェア自体があまり出回らなくなってきたので安くはありません。
そんなナウガハイド張りのイームズシェルチェアもそもそもイームズシェルチェア自体の製造終了のため姿を消すことになります。
そして今現在までナウガレザーのイームズシェルチェアは生産されていません。
イームズシェルチェアが復刻後も、ビニールレザー張りのシェルチェアは今に至るまでハーマンミラー社では製造がされていません。
他のハーマンミラー社の家具ではビニールレザーを使われた製品はありましたが、ユニロイヤル社の物を使ってはいません。
それも最近ビニールレザー自体をハーマンミラー社は家具へ使用するのを終了したところです。
この為ナウガのイームズシェルチェアはヴィンテージ品しか存在はしません。
私が以前米国のハーマンミラー本社に行ったときは、本社の社員がナウガの存在を知らなかったぐらいです。
もうそのぐらい今のハーマンミラー社とは関係がない存在なのでしょうね。
日本製のイームズシェルチェアはナウガのものは使っていません。追記:使っていたこともあるそうです!すいません!
が、基本的にナウガだろうがビニールレザーには違いがありませんので、他メーカーのビニールレザーと見た目はそこまで変わりません。(でもナウガハイドは特有の違いがありますので見分けは付きます)
ナウガレザーは表面がツヤツヤしているものだと思っている人もいますが、それは使い込んで座り込んで表面がツヤツヤになっただけです。
ナウガも新品の状態ではシボがあります。
長年座り続けていると表面がツヤツヤになるんですね。
ビニールレザーはナウガが良いというこだわりを持つ人もいますが、ビニールレザーだけ見てナウガかどうかは判断をするのは慣れている人じゃないと難しいです。
もうナウガを使ったイームズシェルチェアも30年も40年以上も前の個体となりますので、もう生地自体も限界が来ておりキレイな状態で残っている方が珍しいぐらいです。
先述の通り一時期はヴィンテージシェルチェアもたくさんあったんですけどね・・・
過去の話です。
以上、ナウガとイームズシェルチェアの関係でした。
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