– 71 Arm Chair / 72 Side Chair –
デザイナー:Eero Saarinen (エーロ・サーリネン)
エーロ・サーリネンがデザインをした72サイドチェアと71アームチェアは、生地で張りぐるみされた背と座に別素材の脚を持つ珍しいデザインのダイニングチェアでした。
実はウームチェアの兄弟イスとも呼べるデザインです。
同時期に生まれた3つのサーリネンの椅子
話は1943年のエーロが初めてKnoll(ノル)と仕事をしたときにまで遡ります。
エーロはKnollから初めての製品として「グラスホッパーチェア」をデザインして発売をしました。
グラスホッパーは座り心地もデザイン的にも優れた椅子でしたが、残念ながら商業的にはうまくいきませんでした。
ノル社はエーロと次なる製品に取り掛かっていたところで、フローレンス・ノルから『クッションを使用したバスケットのような座り心地の椅子』という要望をエーロに伝えました。
そこでエーロは1946年に3つだけデザインを書いてフローレンスに提案しました。
普段エーロは何百とデザインの提案をする人物だったため、最初から厳選された3つのデザインだけに絞って提案をしてきたことにフローレンスは驚きました。
その3つのデザインがこれらです。
70
71
72
71と72は70と同時期にデザインをされたものだったんです。
これらが全てフローレンスの要望に応えた優れた椅子だったことで全て採用されることになりました。
70は後に「ウームチェア」という名前を付けられ1948年に発売します。
画期的なラウンジチェアとして評価されヒットを飛ばします。
71と72はウームチェアの良さをそのまま小さくしてダイニングでも使えるサイズの椅子とも言えるデザインです。
高級感もあることでエグゼクティブな空間に並べられて使われました。
かたやファブリックもレザーも貼られていないFRP座面を持った個体も発売されました。
こちらはイームズシェルチェアのようにポップさもあったことでカジュアルに利用をされました。
座面にはラバーを入れることで弾力が豊かでクッション性が非常に良いです。
腰の当たりも良いことで座り心地は本当に素晴らしいですよ。
ちょうど骨盤の当たりが抜けていることで重厚さだけでなく軽やかさがありセンスを感じます。
サイドチェアは背もたれが座面裏側にまで回っているのが流れる様で格好良いです。
現在もノル社が正規品を製造販売しています。
アメリカ製、イタリア製、日本製が存在しますので、それぞれで作りやサイズも違うのでご注意ください。
日本製は現在生産はされていませんし、中古の71と72は日本製が多いため、もともとの定価は格段に下がります。
オークションなどで現在の定価を比べるのは間違いないので騙されないでください。
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