家具やインテリアの販売をする仕事をしていると、無くなってからそれが欲しいという人が多すぎる問題に直面します。
電話で普通に『10年前のブログに書いていた~』とか問い合わせが来ますからね、それも珍しくないです。
そんな前のものがあるわけないじゃないですか・・・というのが本音です。
これに加えてプレミアム化問題もあり、過去に製造していたけど今は製造しておらず、現在は人気があるデザイナーのプロダクトはひたすらに値上がりをし続けています。
もうびっくりなぐらい高くなっていく一方です。
『○○を探してほしい、だけど価格は当時のままで売って欲しい』とか普通に連絡ありますからね。出来るわけないじゃないですか、どんだけ都合が良いんですか。
例えばイサム・ノグチが顕著です。
以前の私のノグチの印象は”手軽な価格で彫刻家の優れたプロダクトが手に入る”といったものでした。
20年ぐらい前は世間的に知名度があったわけでもなく、彼のプロダクトはカトラリーから照明からスツールから手に入りやすい値段で多く存在していましたし、そういった製品の販売もしていました。
ミッドセンチュリー期の代表する作品群ですし個人的にも好きなのでよく推していましたが、あまり伝わらないし売れないしどんどん製品も廃番になっていく一方でした。
残った在庫もしょうがなく値引き価格で売り切って終わったぐらいです。
でも今はどうかと言うと、ノグチの製品は軒並み高額化して欲しい人たちが多数です。
それで今になって欲しいとか探しているとか私に言われても・・・売っている時に買って欲しかったですとしか・・・
なぜ廃番や製造終了するかというと・・・もう単純に売れないからです。
売れる物なら継続します。
売れるなら型を新しく作り直してでも続けますが、それほどではないので終了するわけです。
こっちとしてはノグチの事は頑張って伝えていても別にプロダクトに興味も持たれないし売れないしだった経験があるので、それで今になって何故言うんだと。どんどんプレミアム化していくのにも違和感があります。
メーカーも売れるならその時に辞めてないです。
そして不自然に値上がりを続けるAKARI・・・
これについてはあまり詳しく書けませんが、内情を知っていると良いことではありません。
昨今の家具の美術化とビジネス傾倒を地で行く現状はどうしても受け入れづらいです。
色々あって今は私もノグチのプロダクトを販売することはしませんが、別にノグチ自体に興味が無くなったわけではなく、個人的に好きなので香川や札幌に行ったりしています。
私はもう通り過ぎたので商売にしないだけです。
しかしこんな話をしても『今になって知ったんだからしょうがないじゃないか!』と言われるのもよくわかります。
あくまでこれは私個人の話です。
欲しかったのなら売っている時に言って欲しかったというだけの話です。
その時に無視しておいて今更なんだというのか。
だから今のうちに気になるなら手に入れておきましょうね。
私なんか何回「10年前に買っておけばよかった」と聞かされたのかわかりません。
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