– Chaise –
デザイナー: Harry Bertoia (ハリー・ベルトイア)
金属彫刻家「ハリー・ベルトイア」が手掛けKnoll社から1952年に発売された「ベルトイアコレクション」のひとつがこの「シェーズ」です。
”シェーズ”はフランス語で”寝椅子”を意味し、寝転んだ姿勢で使用することを目的としたワイヤーチェアです。
大きなワイヤー形状が伸びるような姿が美しい
ベルトイアコレクションのワイヤーチェアはサイドチェア、ダイヤモンドチェア、バードチェアと座るための椅子を中心にラインナップされました。
その中でこのシェーズは最もサイズが大きく最もダイナミックに使えるサイズです。
横たわって座ることで、座る人自身も含めて作品になるような美しい名作椅子です。
この横たわって座るシェーズはどことなくイームズ夫妻の「ラ・シェーズ」を彷彿とさせます。
シェーズというと身体を上向きに寝転んで使う用途が多いので、横になって座るシェーズは特徴的なデザインのようですが、横たわるシェーズ自体は(いつ頃からかは不明ですが)ヨーロッパで古くから存在します。
ですが、人の形に合わせて曲線を描いて横たわるシェーズは珍しいです。
1948年には既にオリジナルのラ・シェーズが出来上がっており、ベルトイアは1950年ごろまでイームズオフィスで働いていたことから考えると関わりがあるように思えます。
ベルトイアのワイヤーシェーズはラ・シェーズを骨組み状にしたようなデザインのようにも見えなくもないです。
実際にどうだったかは不明です。
ただ、曲線を活かして横たわって使う目的のシェーズは1940年にはチャールズ・イームズとエーロ・サーリネンが共作でデザイン↑をしています。
ここから考えると横たわるシェーズを作るというアイデア自体はベルトイアによるものでは無いと考えられます。
もしかしたらベルトイアがイームズオフィス在籍時に1940年のシェーズを参考にワイヤー状にして作るという実験はしていたかもしれません。
個人的にベルトイアコレクションはシェーズが一番美しいと感じます。
アーティスティックで迫力のあるワイヤー状の構造は影も美しく、ベルトイアの彫刻的センスいかんなく発揮されたスマートな椅子です。
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