– Cyclone Dining Table –
デザイナー:Isamu Noguchi (イサム・ノグチ)
サイクロン(熱帯低気圧、台風みたいなもの)のようにワイヤーが伸びるデザインが独特のこのテーブルは彫刻家イサム・ノグチによるものです。
もともとこのテーブルはノグチ単独で考えられたものではなく、スツールから派生したデザインであり、さらにベルトイアのワイヤーチェアシリーズに関わってくるテーブルです。
最初はスツールだけデザインしていた
このテーブルは、それ以前にイサムが1954年にデザインしていたロッキングスツールからのバリエーションとして生まれました。
イサムの揺れるロッキングスツールに注目したKnoll創業者のハンス・ノルは、このスツールを揺れないようにしてテーブルにすればベルトイアのコレクションの補完になると感じました。
そこでハンスはイサムにスツールをテーブルにするように助言します。
そうして先に小ぶりなサイドテーブル(上画像)が作られました。
それから1957年にフルサイズのサイクロンダイニングテーブルが作られました。
テーブルはスツールのデザインはそのままサイズを大きくしたものですが、テーブルとして安定させるためにスツールとは素材を変えています。
まずベースとなるこの黒い台座。
素材をスチールとしています。これはテーブルの天板を支えるための工夫です。
単純に金属の塊にすることでベースを最も重いパーツにして、重い天板の転倒防止となっています。
その為このテーブル自体の重量はすごいものとなっています。一人ではまず持ち上げられない重量です。
天板は積層合板のメラミン仕上げです。
同時期のジョージ・ネルソンのテーブルシリーズとほとんど同じ素材選びとなっていますし、テーパー(船底)の角度も似ています。偶然なのかどうかはわかりません。
ハンス・ノルが想像した組み合わせはこういった感じです。
ベルトイアのワイヤーチェアシリーズと同じく、ワイヤーを効果的に使ったテーブルとして相性が良いです。
Knoll社ではハリー・ベルトイアは椅子とベンチしかデザインをしておらず、逆にイサム・ノグチはテーブルのみをデザインしたことで自然と組み合わせられる光景ともなっています。(ノグチスツールはありましたけど)
このテーブルの正規品は米国Knoll社が継続して製造販売をしています。2019年現在日本では正規でKnoll Studioの物が流通しているためラインナップにはありません。
日本製も存在しますので、少々複雑な感じのテーブルとなっています。
彫刻的美しさがフレームに集約された美しいテーブルだと感じます。
イサムのセンスが凝縮された家具としてこのデザインは名作として今も人気があります。
ただ、売る側の話ですけど、あまりに重量があるので納品が大変ということがありますね。業者に任せたら別に問題は無いのですが。
合わせる椅子はベルトイアに限らず、どんなデザインでも格好良くなるでしょう。
これ単独で商業施設のディスプレイ台としても格好良いです。たくさん並んでいるとそれこそ彫刻みたいで素敵ですよ。
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