– Eames Storage Unit –
デザイナー:Charles & Ray Eames
イームズハウスを小さくしたようなこのストレージユニットは、イームズ夫妻の工業製品を美しくするということが体現されてもいます。
日本の家具を踏襲された工業デザイン
(書籍 MID-CENTURY MODERN FURNITUR OF THE 1950s BY CARA GREENBERG カメラ直撮り)
このイームズストレージユニット(以下ESU)がデザインをされたのは1949年です。
同年に開催されたデトロイト美術館での展示会に合わせて作られました。(上写真)
ご覧のように茣蓙や提灯を組み合わせて展示をするなど日本要素を取り入れた当時としても斬新なアプローチでした。
こうしてみるとESUは日本の和箪笥からインスピレーションを受けたということがわかりやすいです。
その後ハーマンミラー社から製品として発売されたのは1950年です。
1955年には製造が終了しますがHerman Miller for the homeの立ち上げにより2000年代に製造が再開され現在もハーマンミラー社が復刻製造した正規品を製造販売続けています。
工業製品である規格品を組み合わせてこれほどアート性も高い収納家具を作り上げたのは当時としても画期的なものでした。
これは同年に竣工されたイームズハウスと同じようなコンセプトです。
”家具は小さな建築”と体現したような構造が目を惹きます。
(https://www.hermanmiller.com/ja_jp/products/workspaces/desks/eames-desks-and-storage-units/product-details/)
ストレージユニットから派生しデスクユニットもデザインされました。
先述しましたがESUは日本の家具からも着想を得ているそうです。
日本の古くからある引き戸が付いた和箪笥をイームズらしい表現と配色で作り上げたものです。
この赤、青、黄というクレイジーパターンをパネルとして採用した配色が、画家のモンドリアンによるコンポジションを思わせることから、イームズとミッドセンチュリーとモンドリアンというリンク印象付けることになりました。
(DESIGN 1935-1965カメラ直撮り)
イームズ夫妻による収納家具のルーツはもう少し遡ります。
上の写真は1946年にニューヨークでイームズ夫妻が家具の展示会をやっていた時に披露されていたものです。イームズプライウッドチェアと同時に展示されています。
Eames Modular Storage Units(イームズモジュラーストレージユニット)と名付けられたこの家具が製品化されることはありませんでした。
イームズ夫妻がデザインしたレクタンギュラーテーブルを台座としてブロック状のボックスを積み上げることでモジュール式の収納を作り上げています。今見ても革新的なこの構造はジョージ・ネルソンのベーシックキャビネットシリーズの源流のような印象も受けます。
ディンプルパネルや引き出しなど後のESUに活かされているパーツが多数あります。
製品化されたESUはブロック状の構造を辞める代わりに、製品としての耐久性と安定感の高い収納家具となりました。
オリジナル生産当時には脚のデザイン違いも存在します。
(https://www.hermanmiller.com/ja_jp/products/workspaces/desks/eames-desks-and-storage-units/product-images/)
主張が強いこのデザインは収納をただの収納とせず、何も収納しなくとも一つの作品として空間に鎮座しておくだけで力を発揮します。
イームズ夫妻唯一の収納でもあるので、彼らの収納といえばESUです。
私は自分のお店で全ての段数のESUを販売して納品した経験がありますが、4段はサイズが大きいだけに販売時にも納品時にも注意点がいくつもあります。
だから基本的に4段は相談して納品場所の調査が必要です。
購入希望の方は私のお店へ連絡してください。
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