デンマークには有名な名作家具が数多くあります。
その中にハンス・J・ウェグナーが1949年にデザインをしたYチェアという名前の椅子があります。それが上写真の椅子です。
当時も今もデンマークにあるカール&ハンセン社にて製造販売されており、世界で70万脚以上の販売実績のある名実ともに実績のある家具です。
このYチェアは70年近く前にデザインをされた椅子なのですが、「リプロダクト品」や「ジェネリック品」といった非正規品を見かけないと思います。
これには理由があります。
2011年にYチェアの立体商標が認められてからです。
詳しくはHPを。
この判決以降、カール&ハンセン・ジャパン社以外でYチェアに似たデザインの椅子が流通することはなくなりました。
でもおかしいですよね。
リプロダクトやジェネリックと言って販売している業者いわく、意匠権が切れているから誰でも同じデザインを作って販売しても良いんじゃないでしたっけ?
どうして販売するのをやめたのでしょう?リプロダクトやジェネリックなんて家具は正当なものなんですよね?そう説明していたじゃないですか。
答えは簡単です。
商標権の侵害により訴訟されるリスクがあるからです。
訴えられるのでやらないだけです。
これがリプロダクト・ジェネリック家具の真相です。
意匠権が切れているとか関係ありません。そもそも日本で意匠登録されていない家具が大半です。
訴えられないから販売しているだけで、そこに正当性はありません。
そもそも模倣品業者は意匠権もライセンスも版権とかもよく分からず単語を使っているだけですね。
他の名作家具も同じように商標登録すれば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、やろうと思って出来ることじゃないのでYチェアの判決は「Yチェア立体商標登録事件」なんて言われるほどです。
出来るのなら全メーカーがやっています。もうそれはそれは大変で何年も、場合によっては十年以上かかるそうですよ。
だから家具のデザインの保護は出来ないんです。そこに目を付け模倣品を作られてしまっているんです。
商標登録されているかどうかだと、EAMESという名前もⓇマークが付いています。登録商標なんですよ。実は。
でも米国での話だと思うので、日本の模造品販売会社にいちいち訴えてきません。それに、訴えて来たらその前に販売をやめれば良いだけです。で、屋号を変えてネットショップなどでまた販売します。
いたちごっこ。
この件は一人一人が理解してもらえると家具・インテリア業界も上向くと考えます。
日本ではまだまだ家具における意識が足りていないと思う今日この頃です。
