– Flower Pot –
デザイナー:Verner Panton (ヴァーナー・パントン)
デンマークの奇才ヴァーナー・パントンが1972年にデザインをしたフラワーポット(Flower Pot)は、球形のみでうまく組み合わせられた名作照明です。
彼の照明の中ではおとなしいデザインですが、70年代からのミニマルデザインを象徴する照明デザインです。
フラワーポットという名前は反体制運動に繋がりがあります。
フラワーポットの意味とは
(VERNER PANTON The collected works P.288)
この照明は1972年にルイスポールセン社から製造販売をされました。
最初の素材は琺瑯(ほうろう)を使っていたことでシェードがツヤツヤしていました。
下から覗いたときに電球が隠されている構造となっており、シェードに反射した光により明るくさせデザインとなっています。
この”電球を直接見ない”というシェード構造はルイスポールセン社らしいですし、ポール・ヘニングセンのPHシリーズに通じます。
「フラワーポット」という名称についてですが、これは「フラワーパワー運動」から名付けられた名前です。
フラワーパワー運動はサンフランシスコで1967年に始まった反体制・非暴力を花によって訴えるという運動です。
フラワーポットがこの運動を象徴するイメージとする記述は残っていませんし、デンマークのパントンがこの運動に関わっていたというストーリーが残っているわけでもありません。
フラワーパワー運動は憲兵に向けた反体制運動であり、憲兵の持つ銃の先端に花を差し込むといったパフォーマンスがされていました。
反体制側と多くの憲兵が並ぶ姿を見ると、憲兵のヘルメットがフラワーポットのようなツヤツヤした球形のイメージとそっくりです。
たくさん釣り下がったフラワーポットの下部が、ヘルメットが並ぶ姿に見えることで名付けられた名前かもしれませんね。
私の想像です。本当かどうかは知りません。無責任
(VERNER PANTON The collected works P.289)
ペンダントライトだけでなく、テーブルランプ、フロアライトなどバリエーションがいくつも作られました。
小ぶりなサイズは複数吊るすことが想定されており、たくさん並ぶと壮観です。
(テーブルランプの方が年代が早いんですよね)
ルイスポールセン社にて製造終了後、ライセンスを得て正規復刻を始めたのは、同じデンマークのUnique Copenhagen(ユニークコペンハーゲン)社でした。
この時に琺瑯素材は辞めたことで、復刻以降はマットな印象なシェードとなりましたが、ツヤツヤ加工したシェードもありましたので、復刻品はシェードのツヤにバリエーションがあります。
同社は2010年に&Tradition(アンドトラディション)社と社名を変え、以降もフラワーポットの正規製造は続けていたのですが、製造を中止したり、復刻したりを繰り返して不安定な状況となっていました。
2020年現在は普通に正規品がアンドトラディション社によって継続されていますが、カラーの中止があったことでモノトーン展開のみとなっています。
パントンの照明といえども派手なものばかりではなく、このように気が利いたシンプルな名作照明もありますよ。
年代的にもミッドセンチュリーではありませんが、10年ぐらい前まではこの照明もミッドセンチュリーのデザインとしてなぜか扱われていました。
たぶんミッドセンチュリー系ショップでよく展示されていたからでしょうね。
フラワーポットのテーブルライトがLED電球の充電式となり新発売しました。
下記からご覧ください。
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