– Eames Molded Plywood Chair –
デザイナー:Charles & Ray Eames
この成形合板を利用した椅子はイームズ夫妻による初めてハーマンミラー社にて製品化した家具です。
アメリカンモダンデザインの幕開けを象徴するパイオニアです。
イームズ夫妻が最初にハーマンミラー社から発売した椅子
イームズプライウッドチェアがハーマンミラー社から製品として発売したのは1946年です。同時にイームズ夫妻とハーマンミラーのコラボレーションが始まった年でもあります。
ですが、プライウッドチェア自体の始まりは1940年まで遡ります。
チャールズ・イームズはエーロ・サーリネンとともに家具の研究開発をして、1940年にニューヨーク近代美術館(MOMA)によりオーガニックデザインコンペに出展をし、二つの最優秀賞を獲得しています。
この時には成形合板(プライウッド)の椅子を形作っていました。
チャールズとサーリネンは共同でこのような成形合板の椅子もデザインしています。
これは完全に後のプライウッドチェアの原型になったデザインだと思われます。
それから1941年にチャールズはレイと結婚し、拠点をロサンゼルスに移してレッグスプリントの生産に勤しみます。
この時の成形合板技術を生かして、並行してイームズ夫妻は家具の試作を繰り返していました。
第二次世界大戦が終わり、1945年にイームズ夫妻はエヴァンス社にて製造された彼らの家具の展示会をニューヨークにて催します。
そしてこの展示を見たジョージ・ネルソンがイームズ夫妻をハーマンミラー社に導きます。
ジョージ・ネルソンの肉声で当時のことをインタビューで答えています。
ちょっと前に実際に聞きました。内容はこんな感じです。
ジョージはイームズ夫妻の展示を見て”自分が理想としてる家具がそこにあることに”驚きます。
イームズ夫妻の才能を感じ取ったジョージはそこで葛藤をします。イームズの才能は素晴らしいゆえに、彼らを自分がディレクターを務めているハーマンミラー社とコラボレーションをすれば最高の結果が得られるはずだと考えました。しかし、せっかく自分がデザインに置いて独占している会社(ハーマンミラー)にわざわざ他のデザイナーを加えることに抵抗を感じたのです。
ジョージは悩んだのですが、”イームズ夫妻がハーマンミラー社以外の会社に行くのはあり得ない”と決断をして、ハーマンミラー初代社長D・J・ディプリーに強くイームズ夫妻との協働を薦めます。
そうしてすぐにハーマンミラー社とイームズ夫妻は協力関係を築くことになりました。
そうして翌年の1946年にはイームズプライウッドチェアを製品として発売をしたわけです。
製品化にあたり初期にあった三本脚のデザインはやめ、製品としてより完成された現在の構造になりました。
以降現在まで、70年以上継続してハーマンミラー社にて製造販売が続けられています。
ラウンジチェアタイプのLCW、LCMとダイニングチェアタイプのDCW、DCMがあります。Wはウッドレッグ、Mはメタルレッグの頭文字です。
イームズ夫妻の原点とも言える椅子でもあり、モダンデザインの名作家具です。
クラシックなデザインながら、いまでも人々を惹きつける時代を超えたプロダクトです。
ポテトチップチェアなんて愛称で呼ばれることもあります。
>>ハーマンミラー社現行正規品プライウッドチェア商品一覧(私のお店)
ちなみにハーマンミラー社から最初に発売された家具のひとつで、イームズ夫妻の最初に製品化をしたプライウッドの椅子は「チルドレンズチェア」です。当時はエバンス社が製造販売をしていました。
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