– Pantonic –
デザイナー:Verner Panton (ヴァーナー・パントン)
パントニックはカンティレバー(片持ち)構造を採用した成形合板を素材として採用したポップなデザインの椅子です。
パントン自身のパントンチェアをセルフリメイクしてたどり着いたデザインです。
パントン自身のセルフリメイクの歴史
パントニックチェアがデザインされたのは1992年です。ヴァーナー・パントン晩年のデザインの一つです。
この椅子に至るまでには1955年まで話は遡ります。
1955年にパントンはヘリット・トーマス・リートフェルトの「ジグザグチェア」をオマージュして「Sチェア」をデザインします。
この時は成形合板で製作をしていました。
その後、更なる可能性を求めプラスチック素材を使い何度かデザインを繰り返して1967年に有名な「パントンチェア」が出来上がります。
パントンチェア以降、パントンはプラスチック、ファブリック、金属を使い色彩豊かな斬新なデザインの家具をいくつも手掛けます。
そして1980年代に入ると、また成形合板を使った家具作りを始めます。
(VERNER PANTON The collected works)
そして1981年の「アートチェア」が出来上がりました。
これは「Sチェア」と同じ素材である成形合板を使いつつ、自身の「パントンチェア」をセルフリメイクして作り上げた椅子です。
写真のモノ以外にもいくつか形にバリエーションがありました。
以降合板を使った椅子をいくつかデザインをして1992年にこのパントニックチェアが生まれます。
当初の構想である成形合板を使った椅子として製品化されたものですが、デザイン自体は自分の過去の椅子をオマージュして作られたものです。
見るからにユニークなデザインが目を惹く奇妙な姿をしています。人?をモチーフにしたデザインは1981年のアートチェアの時にすでに存在しています。その時はモザイクのようなカクカクしたデザインだったので、それをもとに流線型にリデザインした姿とも言えます。
このパントニックチェアにはホグチェアというもっと簡素なデザインの椅子もバリエーションとしてあります。
ハグ社によって製造されました。
現在は製造されていません。
パントンというとプラスチックデザインが著名ですが、合板を使った奇抜なデザインの椅子もいくつも残っています。
パントンにとってカンティレバー構造はもしかしたら重要な要素だったのかもしれません。製品化に至っていない資料レベルも含めると本当に数多くのデザインが存在します。
パントンは80年以降は自分のデザインのリメイクが多かったので、パントンチェアに限らずいろいろな家具の素材違いや形違いを手掛けていました。
しかしよーく見ると人じゃないのかもしれませんね。これ。
私はずっと口を開けて横を向いている人の顔だと思っていたのですが、もしかしたら別の何かなのかもしれません。
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