よく『疲れない椅子が欲しい』という要望を聞きます。
椅子に座っていて「疲れる」という表現は不思議な気もしますが、とにかく座っていても身体が疲れづらい椅子を求める人は多くいる印象です。
椅子に座っていると「疲れる」のは身体の各部が椅子に圧迫されて血行不良が起きているからなのと、筋肉が動いておらず硬くなることで血流や代謝が悪くなることで「疲れる」と感じるわけです。
人間にとって「疲れ」はアラートでもあります、何かが原因で身体に負担がかかっていることで健康リスクがあることを「疲れ」というアラートで脳に教えてくれているわけです。
走っていて疲れるのは身体を酷使しているからで、その疲れを無くすためには走るのを辞めて休息を取ることです。
だから同じように椅子に座っていて疲れるのであれば、疲れる原因を解消することが大切です。
結論から書きますと、座るだけでまったく疲れない椅子というものは無いです。
でも、疲れないような工夫をするための椅子はありますし、疲れる椅子だから悪いということはありません。
その逆に、座っていても疲れないと感じる椅子は注意が必要な椅子です。
疲れない椅子についての考察
人間にとって座り続ける行為は寿命を縮めるぐらい身体に悪い行為です。
そのため長時間座り続けると健康リスクがあるためアラートとして「疲れ」や「痛み」など身体の不調がでます。
そこで大切なのは身体のストレッチをすることと背骨を逆S字にするといった人間本来の姿勢をキープすることです。(大前提として日々の運動が重要ですが)
それらが出来る椅子を選ぶのが最適です。
ここで「疲れる椅子」について考察します。
疲れる椅子というのは、先述の通り「身体が硬直している」「各部を圧迫している」からが理由となります。
そこにもう一つ疲れる要因があります。
それは筋肉を使っているということです。筋肉を使っていると疲れます。
背骨を逆S字にするために姿勢を正すと腹筋を使います。
腹筋を使い続けることで筋肉疲労が起きることで疲れます。
疲れを解消するために猫背になると腹筋を使わないことで休憩は出来ますが、背骨や首にかかる負担が増大します。
正しい姿勢を取るには筋肉を使いますので、それによって疲れるのは悪いことではありません。
人間にとって歩くことは大切な運動ですが、歩いていると疲れます。
疲れるから悪いということは無く、むしろ歩いても疲れづらいように体力を付けることが良いです。
なので筋肉を使って姿勢をキープすることで「疲れる=疲れる椅子」となりますけど、健康維持のためには悪いことではないためむしろ推奨されます。
筋肉を付けて姿勢を維持できる時間を長くすることが求められます。
それでも腹筋を長時間使った姿勢のキープが難しいので、だからこそ頻繁に背伸びやストレッチが必要になるわけです。ストレッチが休息であり回復となります。
このことから疲れる椅子=悪いとは言えません。
対して座っていても疲れづらいと感じる椅子は筋肉を使わない椅子です。
猫背で座る椅子は腹筋や各筋肉を使わないので筋肉疲労が起きません。
そのため疲れづらい&快適と感じてしまいます、人間は筋肉を使わないと楽だと錯覚してしまう生物です。
そのかわり背骨や首や各臓器に負担はかかっています。
それは「コリ」や「痛み」として認識しますので「疲れ」とはまた違った感想を得ます。
だから疲れない椅子というのはそう錯覚しているだけで猫背で座っているだけということがありますので注意が必要です。
これは椅子選びは感覚だけで選ぶとうまくいきづらい理由です。
身体が動かなくて猫背で座れる椅子ほど人は楽だと錯覚してしまうからです。
怖いのは猫背で座れる椅子に座り続けると身体が椅子の形に変形していくことです。
人間は適応する生物ですから、その環境に適応するように変わっていきます。
そのうち猫背の形になっていき直立も難しくなっていきますが、本来の人間は直立した姿勢をする生物のため、猫背によって背骨や椎間板に無理が生じてダメージが浸透していきます。
そのうち背骨に最悪の自体が起こり得ます。
ということで「疲れない椅子」という概念で椅子選びをするのは目的を達成しづらいので難しいです。
まずは疲れる=悪いという概念を無くし、そもそも疲れるというはどういうことか、そして疲れないような工夫はどうすれば良いのかを考えて椅子を選ぶのことで目的に合った椅子を選ぶことが出来ます。
椅子が出来る最大のパフォーマンスは現状維持です。
自身の健康状態を維持するのが最大ですので、椅子に座って腰痛が治るなんてことはありませんし、疲れないなんてことはありません。
自分の姿勢をどれだけ快適にサポートしてくれるか、良い椅子ほどそのサポート力が優れているということです。
ワークチェアの前傾機能なんかは腹筋も使いますから疲れるという評価は正しいです。
その「疲れ」がネガティブなものとしてだけ受け止められると、その反対の猫背で座れる椅子を良いものと勘違いしてしまいます。
疲れない椅子という探し方ではなく、自分がどうしたいのか、何を解決したいのかを明確にした椅子選びをすることが良い結果を招くということですね。
コメント