– SCRITTURA ILLEGGIBILE DI UN POPOLO SCONOSCIUTO –
デザイナー:Bruno Munari (ブルーノ・ムナーリ)
デザイナー、画家、彫刻家、絵本作家、教育者と多岐に亘り活躍したブルーノ・ムナーリによる文字を意味から解き放ちアートに変えたこの作品類は「未知の国の読めない文字」と名付けられています。
編集者として辿りついた芸術の一つです。
読めない文字が芸術へと変わる
(ブルーノ・ムナーリ回顧展公式図録 P.268-269)
ムナーリは生涯を通じた雑誌の編集作業活動から、文字やデザインによる興味は大きく、その繋がりを課題としていました。
そんな中でムナーリは文字に対する不自由さを感じ、新たな取り組みをいくつか始めます。
その一つが文字を”文字として読めない記号”として扱う手法です。
(ブルーノ・ムナーリ回顧展公式図録 P.267)
ムナーリは象形文字から記号に至るまで様々な文字情報から着想を得て、文字自体をもっと自由な存在に変えるべく考えた手法が自ら文字を作るというものでした。
1966年にその最初の作品となる「シンボル(上写真)」をデザインし、まるで文字が書いてあり何か意味が読めるようになっているようにも見えるのですが誰にもこの文字を読むことは出来ません。
最初の作品はかなり記号寄りでした。
以降は文字と記号の中間のようなデザインをしています。
(ブルーノ・ムナーリ回顧展公式図録 P.270-271)
そうして名付けられた「SCRITTURA ILLEGGIBILE DI UN POPOLO SCONOSCIUTO (未知の国の読めない文字)」は1975年から1985年まで作られました。
誰も読むことが出来ない文字は”文字”という枠から飛び出し、限りなく絵として見えることでアートに変えた風変わりな作品です。
名付けセンスが素晴らしいですね。
読めない文字を”未知の国”とするところが面白いです。
一連の作品には規則性があり文字に意味があるのかもしれませんが、それがどんな意味があるかわ誰にもわかりません。
ムナーリが意味を付けて作品を作ったのかどうかが気になることです。
実はダネーゼ社で少しだけ製品化されています。
文字を芸術に変えるという発想が素敵です。
どことなく漢字にも見えなくもないです。
ところでブルーノ・ムナーリは「芸術は一点ものではなく、多くの人の手に渡るべきだ」と明言をしています。
つまり、ムナーリの製品はアートでもあり、プロダクトでもあるということです。
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