– Side Chair (420c) –
デザイナー: Harry Bertoia (ハリー・ベルトイア)
1952年に米国Knollから発売された一連のベルトイアコレクションの一つです。
金属彫刻家ハリー・ベルトイアの彫刻技術がいかんなく発揮された椅子シリーズの中で最もスリムなダイニングチェアタイプです。
金属彫刻家としてのダイニングチェア
金属彫刻家であるベルトイアがイームズオフィスを離れ、ニューヨークのKnoll社のためにペンシルバニアへ引っ越しをして工房で作り上げたベルトイアコレクションのひとつがこの420cです。製品名は「Side Chair(サイドチェア)」です。1952年にKnoll社から発売されました。
スチールワイヤーをメッシュ状に組んだ構成はダイヤモンドチェアやバードチェアといった他の椅子と同じです。脚も共通。
このサイドチェアは単純に肘掛部分を無くしたダイニングチェアとして使うための椅子です。
ダイヤモンドチェアのようなインパクトの強いデザインはありませんが、普通の食卓でも使えるこのサイドチェアが最も利便性が高いです。
コンパクトにまとめられた金属彫刻を楽しめる優秀なフォルムと頑丈さが売りです。
座面に水がたまらないので屋外での利用も想定されています。今と昔は塗装が違いますが、どちらもクローム以外はすぐに錆びないように工夫がされています。(現行品はクロームでも水に強い塗装がされています。)
ニューヨークのペイリーパークで実際に屋外で使用されています。
こちらは座面がプラスチックになっているサイドチェアです。
写真は2015年に復刻したポリプロピレン製ですが、もともとは1956年に座面をFRP製で作られたベルトイアサイドチェアが存在します。あまり見かけないので珍しいといえば珍しいですが、貴重というわけではないので数が少ないだけです。
こちらは座るとメッシュ座面が痛いという人に向けてのアプローチとなります。そしてかなりイームズライクな椅子です。
レザー張りも今では存在します。
ワイヤー組みの上にレザーを張り込んでいるわけではなく、プラスチックチェアの上をレザーで張り込みしてあるという構造です。
なおさら座り心地が良くなっています。
ただそもそもこのデザインに座り心地を求めるのも違うような気もします。
ベルトイアの椅子は金属彫刻としての美しさを楽しむ実用的アートみたいなものでもあるので、そこが無くなるとただの椅子ともなってしまいます。
それでもベルトイアの製品で座り心地を求める人の気持ちも分かりますので、Knoll社としても広い要望に応えるためのラインナップでしょう。
どちらを選んでも好みでOK。
今なおKnoll社にて正規品の製造販売がされ続けています。
もちろんこのサイドチェアもアメリカ製、日本製、イタリア製のそれぞれの正規品が存在します。
すべてつくりやサイズが違います。見分け方もあります。
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