私はいまでこそ独立開業して7年近く経ちますが、最初のころを思うと「よくもまああんな状況で始めたな」と他人事のように感じます。
私が開業したのは2011年の7月。26歳の時です。
かねてからのリーマンショック不況が続き、デフレ真っ只中であり、さらに3月にあった震災の影響も色濃く残る時期でした。
何かをスタートするには難しいタイミングです。しかもそれが趣味性と専門性の高い家具やインテリアを実店舗での販売なんですから無謀も良いところです。流行や流れとは外れたジャンルでしたし。
販売業もインターネットのオンラインショップが当たり前になり、メーカーも直売が始まっていたのも逆風でした。
加えて私自身はそもそも独立できるような経験や実績も縁も何にもない人間でした。
家具やインテリアに携わりだして3年程度のものでしたし、それも深いところには何も関わっていません。業界自体への知識はほとんどありません。それに独立しかたらといって売る相手が居るわけでもなく、仲間が居るわけでも無く、教えてくれる人もいません。
一年半分にもわたる給与の未払いがあったおかげで資金はほぼ0。資産もなし。
唯一独立にあたって使えたものは店名です。前に勤めていたお店の屋号を使えました。そして移転という形をとりました。
これは自分のためではなく、お客さんたちのアフターフォローが出来なくなるので店名と電話番号を引き継ぎました。それから、他にも未払いになっているスタッフたちの未払い給料を支払わせるためにも前の会社にお金を回せるようにと屋号を使いました。
商売をするのにも、自分自身が強引さを持ち合わせておらず、自分で宣伝すらうまくできないような人間です。
そんななかどうして始めたかというと、「やるなら今しかない!」と強く思ったタイミングだったからです。
いま私が店舗に使っている物件が使えるのはそのタイミングしかなかったんです。だから無理矢理でも始めよう!と奮起しました。
その時の私はこう考えていました。
「いまは最悪だけど、これより悪くはならないだろうから乗り越えられたらあとは上がっていくだけだ」と。
それで数百万円の借金スタートが始まりました。毎月の支払いがすごすぎて大変でした。
返していけばいつかは借金が0になるはずですし、お金も千円づつでも貯まっていくはずです。続けていけば良くなっていくだけだと考えました。
もともと上手くできる人が上手くいっている状況から始めても、もし上手く行かなくなったら気持ちも落ち込むことになりますし、続ける気力がなくなるかもしれません。
逆に上手くできない人が上手くいかない時に始めたら、例えば上手くいかなくても「そんなもんだよね」と納得して続けることが出来ます。
それにこの立地の良い物件を私のような存在が店舗として使えるように出来たのは情勢が悪い時だからです。あの時は名古屋も街中でシャッターが多かったです。
今は好景気?なので始める人が多く私なんぞが店舗を構えられなかったでしょうね。
何かを始めるタイミングは様々ですが、悪い時ほど何かをスタートするのに向いているのかもしれません。
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