兵庫県芦屋市にあるヨドコウ迎賓館は、山邑家別邸として1918年(大正7年)に建築家の「フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)」が設計しました。
ライトがアメリカに帰国後は弟子の「遠藤 新」と「南 信」が引き継ぎ1924年(大正13年)に竣工しています。
日本では建築当初の姿をほぼ完全に残すライトの住宅建築はこのヨドコウ迎賓館のみです。
実際に行きましたので現地レポートをお送りします。
ヨドコウ迎賓館の内部
ヨドコウ迎賓館は阪急神戸本線「芦屋川駅」から徒歩10分ですしJR神戸線「芦屋駅」より徒歩15分なので車を使わず徒歩のみでも行けます。
入場料を支払えば入館可能です。
建物内は狭い箇所があり展示されたインテリアに接触する恐れがあるため、あまり大きな荷物は持っていかないほうが無難です。
上写真は外観です、このまま奥に入っていき右側の扉を開ければ受付があります。(上写真右側の扉はは受付ではありません)
建物は二階から見学が出来ます。
見所が最初に展示されているのでここで確認しておくと良いです。
最初にあるのは応接室です。
中央に置かれている六角形の机と椅子はライトが当時設計したものではなく、この応接室の雰囲気に合わせて新たに作られたものです。
確かにこのデザインはライト感がありますし調和もあります。
応接室にはこの大きな窓があり風景を同時に楽しめます。
奥の窓からの景色も良いのですが後ほど紹介します。
3階に上がるとこの廊下があります。
ライトの造形を飾り銅板にした特殊な窓枠になっており、光が入る時間だと幻想的な印象すらあります。
和室部屋もあり欄間にライトの造形を使うなどそのままの和室ではありません。
この照明は和室とは思えないデザインです。
床の間も一見すると普通の装いですが、よく見ると細部がライトの設計だとわかります。
そしてそもそも床の間の位置が日本家屋の造りではありません。
伝統に縛られずにあえてそうしているのか、設計上そうしているのか、ライトのこだわりなのか。
(床の間は本来和室自体を指す言葉ですがわかりやすくこの表現を使っています。)
和室の醍醐味はこの窓です。
ちょうど紅葉の時期に訪問したので雰囲気は見通しは最高です。
家族寝室には竣工当時に存在した机と椅子の復元品が展示されています。
この机はカンティレバー構造で、自立している様が不思議です。
これには実際に腰掛けることが出来ます。
4階には食堂があります。
装飾性が強く厳格な印象を受けます。
机と椅子はコクヨ株式会社がフランク・ロイド・ライト財団と協力して製作したものです。
ライトの意匠を感じるデザインです。
そして4階からはバルコニーに出ることが出来ます。
ここから見る景色は眺めが良く、天気が良い日だと大阪湾まで見通すことが出来ます。
館長によると以前は関西国際空港と大阪までキレイに見ることが出来たそうですが、年々それが見えなくなってきているそうです。
住所の通りまさに山手(やまのて)です。
ヨドコウ迎賓館では1階部分からこの景色を体感することが出来ます。
各場所にはヤマギワにより復刻されたタリアセンも展示されています。
ヨドコウ迎賓館にもともと置いてあった照明ではありませんが、ライト繋がりで展示しているのでしょう。
暖炉から照明の一つまでライトの精神を感じます。
非常に素晴らしいデザインで感心します。
これは現存するうちに行っておいた方が良いです。
ヨドコウ迎賓館へ行く場合は公HPにて営業スケジュールをよく確認してください。
貴重な建築なので行く価値は十二分にあります。
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