今日は特定の記事のアクセスが急に増えたので何かあったのかとアクセス経路を調べると、どうも「スパイファミリー」という漫画の表紙に登場人物とともに名作椅子がイラスト化されて掲載されており、その是非について議論をされているようで特定の椅子の名前とリプロダクトについて検索されこのサイトに辿り着いているようです。
スパイファミリーという漫画を私は知らなかったのですが、本の表紙を検索すると確かに名作椅子が描かれていますね。
ここで議論になっているのが名作椅子をイラストにするのは良いのか?何か許可が必要なのではないのか?ということです。
これに関してですが、日本で椅子は著作物ではないのでデザイナーの椅子の絵を描いても何か法律に引っかかることはありません。
古いデザインも新しいデザインもそれは同じです。
でも、その椅子のデザイナー名やメーカー名を記載すると問題がある場合があります。
例えばスパイファミリー3巻表紙に描かれている「ラ・シェーズ」と8巻表紙に描かれている「イームズラウンジチェア」をデザインしたチャールズ&レイ・イームズ夫妻ですが、「EAMES(イームズ)」でハーマンミラー社は商標登録をしています。
「EAMES(イームズ)」の商標は印刷物も含まれていますから出版物である漫画は該当しそうです。
名前系は商標をとられている場合があるので確認が必要となります。
Yチェアとトリップトラップに関しては日本でも裁判で著作物判定をされています。意匠登録ではなく本当に著作物です。(詳しくはググってください)
著作物を絵にするのは著作権の侵害となりますが、絵にした時点で何か不都合が生じるわけではありません。
後述しますが著作権はあくまで権利ですし親告罪です。
海外だとまた事情が違います。
8巻に掲載されている「イームズラウンジチェア&オットマン」は北米では立体商標がとられているデザインです。
だからこの漫画が北米で販売されると、立体商標をとっているデザインをオリジナルデザインそのまま絵にしているという問題があるのですが・・・それでイームズオフィスやハーマンミラー社が動くかは別の話です。
しかし表紙を見る限り全体が映っているわけではありませんから、それがイームズラウンジチェアかと言われると微妙なところです。似た別のものとして認識されそうです。
漫画内にラウンジチェアのデザインそのままに載っているなら別ですが、立体商標物を二次元で絵にしたところで立体ではないので関係なさそうです。
そもそも商標権の侵害は親告罪ですし、あくまで権利である以上、絵にした時点で何か問題になるわけではありません。
権利者が訴えを起こさない限りはそれ以上のことはありませんし、仮に権利者が訴えを起こしてもどうなるかは裁判次第です。
あくまで私見ですが、絵に描いたぐらいでは権利者も何もしないのが普通でしょう。
が、商標や著作物であるデザインをそのまま載せたイラストを単体で売り出すと問題が生じるかもしれません。(誰も問題にしないかもしれませんし)
権利者が存在するデザインで他者が利益を得るのはまずそうです。
イギリスとEUはまた別の問題があります。
なぜなら2016年からイギリスでは家具は著作物になっているからです。EUもそれに追従すると当時は言われておりましたが、現在どうなっているのかは私も良くわかりません。欧州の知財に詳しい人にお尋ねください。
家具が著作物と制定したのは3Dプリンター対策とも言われておりますが、著作物である以上は絵にするのも著作権の侵害に当たります。
これも結局は絵にした時点で問題にはならず、あくまで権利を持つ当事者同士のことです。
まとめると、絵にしたぐらいで何か問題が起きるようなことにはならないでしょうが、そこにデザイナー名など商標がとられている名称を入れると問題となりやすいということです。
>>ついでに家具のリプロダクト/ジェネリックについては過去に記事を書いたので参考にしてください。
コメント