チャールズ&レイ・イームズ夫妻がデザインをした不変の名作家具イームズラウンジチェア&オットマンですが、日本で正式に発売が開始されたのは1964年のことです。
同年にハーマンミラー家具販売会社が設立されたことで、日本でもハーマンミラー製品の正規販売が行われるようになりました。
それから現在の2022年まで58年以上に渡り販売が続けられているイームズラウンジチェアですが、発売当時の価格はいくらだったのかご存じでしょうか。
現在の貨幣価値で計算した物価比較もお伝えします。
1964年のイームズラウンジチェアと当時の物価から計算
参考資料はこの本です。
1964年に発行された「デザイン」で、日本に初めて作られたハーマンミラーショールームの紹介がされています。
情報として非常に貴重な内容で、ハーマンミラー製品が日本に上陸したことについて剣持 勇 氏や渡辺 力 氏、乾 三郎 氏らがコメントを書いています。
まさにミッドセンチュリーモダンの象徴のような光景ですね。
ショールーム内の光景が何枚か掲載されているのですが、よく見るとページの端に販売価格が記載されています。
ラウンジチェア(ローズウッド)¥325,000&オットマン¥125,000と書かれています。
つまりイームズラウンジチェア&オットマンのセットで¥450,000です。
でもこの価格は1964年のことですから現在2022年の貨幣価値とは異なります。
このラウンジチェアの価格は現在にするといくらの価値になるのかを調べる方法があります。
それが企業物価指数および消費者物価指数です。
1964年(昭和39年)の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は22.5です。
99.7(令和3年)÷22.5(昭和39年)=4.43
1964年のイームズラウンジチェア&オットマンの価格¥450,000 × 4.43 = 現在の価値に変化すると¥1,993,500
1,993,500円!?
・・・めちゃくちゃ高額ですね!
計算が間違っていないか何度も確認しましたがこうなります・・・
ここで1964年の物価を見てみましょう。
中華そば(外食) 59円
映画観覧料(大人) 221円
新聞代(1ヶ月) 450円
大学の受験料(早稲田・慶応) 5,000円
公務員の初任給(大卒) 19,100円
カメラ(フィルム・35ミリ) 17,900円
テレビ(モノクロ・16型) 55,500円参考 帝国データバンク史料館 https://www.tdb-muse.jp/webmagazine/2014/10/39.html
公務員の大卒初任給が19,100円ですか。
やっぱりイームズラウンジチェアの値段は高すぎませんか??初任給2年分ですよ。
テレビが55,500円に対してラウンジチェア&オットマンが450,000円なんて、当時はどんな客層が購入したのでしょうか。
別の記事で1971年に発売した初代カローラが498,000円でした。
ほぼラウンジチェア代です。車とイームズラウンジチェアがほぼ同じ価格とは・・・
間違いなく日本に初めて上陸したときのハーマンミラー社の家具は高級家具だったことがわかります。
乾 三郎 氏のコメントで”ハーマンミラーを高級家具”と表現をしていたのが正しいことだったことがよくわかります。
※固定為替(1ドル/360円)だった影響が大きそうです。
それで現在のイームズラウンジチェアの販売価格を見たら現在のほうが販売価格は安くなっているということです。意外な結果ですね。
何でも昔のほうが安かったとなりがちですが、これに関しては例外でした。
ちなみに、イームズプライウッドチェアもイームズシェルチェアも初任給以上の価格でした。
イームズ製品は昔のほうがもっと高級家具だったということですね。
誰ですか?イームズ製品が安価だったなんて言ったのは。
余談ですが当時のカタログも所有しているのでそちらで価格もわかりますが、発行年代が正確ではないので今回ここで紹介した本のほうが1964年ということがわかりやすいため紹介しました。
昔のカタログを見ると価格にいろいろな意味で驚きますよ。カローラよりネルソンのデスクのほうが高額なんですから。
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