現在ギャラリーエクワッドで開催中の「イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン」に行ってきました。
同展の内容と、5/10に行われたシンポジウムにも参加したのでそちらも報告します。
イームズやイームズハウスの貴重な情報が凝縮
チャールズ&レイ・イームズ夫妻による傑作建築である”イームズハウス”に焦点を当てた珍しいアプローチの展示です。
竹中工務店が運営するギャラリーエークワッドにて2019年3月19日より開催されています。
目玉はいくつもあるのですが、このイームズハウスの1/12ミニチュアがすごすぎました。
この展示ですがほとんどの撮影は可能です。ですが一部展示物が撮影、または動画撮影不可のものがあります。ご注意ください。
実際に現地に行き縮尺を計り、本物を忠実に再現したハイクオリティなミニチュアです。
私も現地で内部に入ったことがあるので判るのですが、もう本当に同じなんですよ。良く出来ているなんてレベルじゃありません。こうしてファインダー越しに覗き込んでいると現地にいるような錯覚が起きます。
さらにスタジオ(イームズハウスを正面から見た時に右側の建物)の方まで作り込んでいます。
これには感心しかありません。
建物に並んだユーカリの木もミニチュアにしているところもこだわりを感じます。何せイームズハウスはユーカリの木のためにこの場所に建築したというストーリーがあるからです。つまり、ユーカリの木も建築の一部ということです。
これだけ精巧なミニチュアですから「お金がかかっても欲しい」という気持ちになりました。
が、詳しい人が製作費を教えてくれたのですけど、ちょっと想像を超えた金額でした・・・
ここまでの物を作れるなんて大企業というのはすごいものですよね。それが無料展示って・・・どれだけの予算を今回につぎ込んでいるか計り知れません。
展示にはイームズデザインの家具のオリジナルも飾られていました。
これは初期のイームズラウンジチェアです。ブラジリアンローズウッドにフェザーグレーが入った仕様です。
ここまで使い込まれた状態を見るのも貴重です。勉強になります。
さらに注目は日本に最初に上陸したイームズシェルチェアが2台とも展示されていることです。
この2台は画家の猪熊弦一郎氏のアトリエで愛用されていたものです。それが無事な状態で今でも見ることが出来るのは歴史を感じます。
目の前で見れてしかも写真撮影まで出来る機会が来るとは思いませんでした。感動。
これもよかったですね。
アーツ&アーキテクチャー(Arts & Architecture)の復刻盤が並べられています。
この雑誌がきっかけでcase study houseプログラムが始まった伝説的存在で、表紙をレイ・イームズが手掛けたものがあります。
ここでは自由に読書できます。ありがたいです。
もっとも貴重なのは雑誌下に飾ってある図面です。これは撮影不可です。なにかというと”イームズハウスのオリジナル図面”です。貴重なんてものじゃありませんね。
イームズハウスの建材まで展示する入れ込みようです。
材料から製法までを説明されていて、その辺はさすがに建築を生業にする人たちの展示ですね。
広さ自体は全然です。展示場の大きさとか大がかりな仕掛けとかを求めるのなら違います。そもそも無料ですし。
が、展示されている物や情報の貴重さやレベルの高さは相当なものです。むしろこれが無料なんておかしいぐらいです。プロ向けとして最高の展示会ですね。実際訪れている人たちはイームズファンや建築や設計に関係する方々が多いでしょうから。
イームズハウスだけじゃなくてイームズファンなら行くべき内容です。
そして私が訪問した5/10は特別にチャールズ・イームズの孫であるディミトリアス・イームズ氏とルシア・デューイ・アトウッド氏の両名によるシンポジウムが開催され、そこに私も参加希望を出しておりました。
シンポジウム「チャールズ&レイ・イームズが残したもの」
チャールズ・イームズの孫にあたる両氏をお招きし、
イームズハウスをはじめご夫妻の貴重な遺産を管理されている立場から、
デザイン思想やエピソード等をお話しいただきます。”
内容ですが、まずルシア氏によるイームズハウス250年プロジェクトの説明と、現在のイームズハウスの状態解説から始まりました。
イームズハウスは1949年に竣工されてから今年で70年を迎える歴史的建築物です。
その為老朽化が進み現存が危ぶまれています。
そこでイームズオフィスは2011年よりゲティ保存修復研究所との協力により、イームズハウスを250年後まで残すというプロジェクトをスタートしました。
フローリングの全張替えから屋根の修復から建物のすべてを作り変えたり補強することで長期保存できるようにしています。この計画はまだ始まったばかりなのでまだまだ長い時間がかかります。
これほど大変な作業を行えているのもルシア氏のイームズハウス愛によるものです。
250年という年数はユーカリの木の寿命から付けられています。
(合成っぽいですけど背面のスクリーンがたまたまブルーがかっているだけです)
そしてディミトリアス氏(写真右)によるイームズ夫妻のデザインストーリーを語ってもらいました。
貴重な情報も多く、裏話など多くのことを知ることができました。彼の持参した特製DVDには今まで見たことが無い映像や写真があり、まだまだ知らないことは多いものだと実感しました。
しかしディミトリアス氏、年を取るごとにチャールズに似てきていますね。孫だからそりゃそうなんですけど。
参加者にとって非常に有意義な時間になりました。
貴重な機会をみなさんありがとうございます。これからもイームズデザインの素晴らしさを伝えますし、私はハーマンミラー社の正規販売店をやっていますからイームズ家具を販売しますね。そっちが大切ですし。
ちなみに写真の左の緑のイームズTシャツを着ているのは私です。参考として私は身長180cmですよ。
珍しく私も人と一緒に記念撮影をしています。
”写真撮って私と”と話したら「Sure」と快く対応してもらえました。
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