日本人は包装にこだわります。
それは日本人が古くから梱包方法を工夫し、見た目にも美しく包装することに努めてきたからです。
その意識が現代にも息づいているので包み方を重視するのです。
過剰なぐらいの梱包はジャパニーズスピリットとも言うべきでしょうか。
それがよくわかる本があります。
それがこちらの岡 秀行(おか ひでゆき) 氏が1940年に刊行した「日本の伝統パッケージ」です。
写真の実物は英語で復刻されたものです。タイトルは「HOW TO WRAP FIVE EGGS」です。英訳した人のセンスが良いですね。
この本は世界的に評価が高く、英語だけでなくドイツ語、フランス語でも翻訳された出版されてました。
1950年にはニューヨークで「包む – 日本の伝統パッケージ」展が開催されたほどです。この展示は世界28ヶ国で催されました。
この本を読むと日本では古くから”どうやって包むか”を追求していることがよく分かります。
お金をかけずに効率的かつ見た目にも美しい包装方法がぎっしり詰まっています。(竹や陶器など、現代では逆に高額になっている梱包もありますけど)
日本の伝統として他国から関心が寄せられるのも納得です。
そりゃあジョージ・ネルソンも日本に来たお土産としてこの本を持ち帰りますよ。
ネルソンは日本での旅を『すべてが興味深い』と評価しており、この本もデザインを生業とする彼にとっては見逃せないものだったのでしょうね。
包み方といえば、日本のお弁当が以前から海外(主にEUと米国)で評価されていたりします。
日本のお弁当箱は可愛かったり手が込んでいたりするため、日本独自の文化として外国で魅力的に写っているそうです。
弁当箱を彩るのはまさに今回のお話である”日本の伝統”ですね。「美しく包む」ということが現れています。
日本人にとって贈り物は感謝を表すものであり、中身も大切ですが包装が重要です。
ご祝儀袋なんかはまさにじゃないですか?現金だけ渡すのではなく、袋ですら飾るわけです。
他国では贈り物は見返りを求めたものという考えもありますから、この辺の考え方の違いで根付いた文化だと考えます。
梱包にも気にしてみると、また違った発見があるかもしれませんよ。
コメント