たまたまこの記事を読んで思ったのですが、「家具はヒットするのにやっぱり時間がかかるものだなぁ」としみじみします。
もっとも深沢氏のデザインは定番とは言えない高度な技術を要するものだった。山中氏と従業員たちは「デザイナーの要望に『できない』と言わない」と事前に決めていた。例えばそれまでは作業効率を優先し半径3ミリメートルまでしかできないとされていたカーブの加工で、深沢氏が要求したのは半径1.5ミリ。機械で磨けないため、手で磨いた。
現場は逃げなかった。それだけではない。深沢氏が描いたデザインどおりに作っただけでなく、木材を使い分けて木目を美しく演出してみせるなど、付加価値を加えた。
深沢氏はこう言い切る。「我々の椅子がデザインの最高峰を集めたアップルの社屋で選ばれたのは必然だ」
HIROSHIMAの発売以降、マルニ木工の減収に歯止めがかかった。商流が変化し、伊勢丹新宿店など百貨店、住宅メーカー経由や商業施設向けの販売が増えた。売上高の構成も一変。以前はゼロだった海外販売が全体の1割を越えた。デザインの祭典であるミラノサローネでも、世界のトップブランドが集まる施設での出展が認められるようになった。
誰やねん深沢 氏って。深澤直人 氏ですよ。どえらい間違いしています。(どえらいは愛知の方言)
HIROSHIMAチェアは記事の通り2008年に発売が開始されたものですが、当時から良い椅子だということは業界内で周知されていました。深澤デザインというだけでも当時から注目を集めていましたし。
それが10年近く経って”世間的”に評価されてきて、このようなニュースにも扱われるようになっています。
大きな転機としてはアップルの新社屋の椅子として数千脚が納品されたということですね。すごい規模の実績です。
さらに深澤直人氏の力が以前にも増して世界的に評価が高くなったということがあります。彼は家具の業界でも新作をリリースし続け、最近ではハーマンミラー社ともコラボレーションを始めました。
HIROSHIMAチェアは以前から海外でも注目されていましたね。
数年前にニューヨークのSOHOに行ったときに、ある家具屋でも唯一の日本の家具としてファサードに展示されている光景を見ました。
やっぱり家具は本当に長い期間を経て評価されるものなんですよね。
マルニ木工に限らず、どこのメーカーもどんな製品も長い期間を売り続けてやっとヒットするなんてことがあります。
だから服飾や家電や車などと違って、家具はひたすら同じデザインを売り続けて、そうしていつか、いつか、いつか、花開くときが来るという世界です。
そうしてやっと売れるようになったら今度は何十年も販売し続けて不動の地位に辿りつくわけでもあります。デザインのサイクルがものすごく長いです。
常に新作を販売してその時のヒットを狙い、売れなくなったらまた次の新作や新しい製品をバンバン出してなんてことはこの家具業界ではほとんどありません。
特殊で難しい業界だと感じます。
だから家具を新たに作ったら、すぐには売れないのが当たり前で、もしかしたら10年後にヒットするかもと夢見て売り続けることが大切ですね。
売れないからってすぐにやめたらダメです。
しかし売れないのに続けると自分がダメになってしまうかもしれません・・・体力のいる商売です。
大変ですね。
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