– ヒモ椅子 –
デザイナー : 渡辺 力
これは昨年2017年にメトロクス東京にて開催された「渡辺力ポップアップショップ」の一コマです。
この椅子は渡辺 力 氏がデザインした”ヒモ椅子”のオリジナルヴィンテージ品です。
貴重な逸品でもあり歴史を感じることが出来る”日本の椅子”でもあります。
日本のプロダクトデザインのパイオニア「渡辺 力」とは
戦前から日本でデザインをしているパイオニアのような存在であり、重要なデザイナーです。彼のことを知らずして日本のミッドセンチュリー期は語れません。イームズやハーマンミラーとも関係があります。
このヒモ椅子がデザインされたのは1951年のことです。
日本の戦後の物資事情が大きく関わるデザインであり、渡辺 力 氏の傑作でもあります。
当時、 まだ第二次世界大戦の余波が残っており、家具をデザインするにも日本は物資が乏しく満足に材料調達が出来ない状態だったそうです。
そこで同氏は「コストをかけずに快適な椅子をどう作るか」を目的に考えました。
そうして考えられたのが、”椅子の背と座のクッションとして木綿紐を使用し、まだ容易に手に入りやすかったナラ材をフレームとして利用した”このデザインです。
紐自体がクッション性を持つことで座り心地も悪くなく、構造上強度も充分にとれた優れた構造となりました。
さらによく考えられている点として、座面には座布団を置いて使うことができます。
当時はまだ畳が一般的で椅子を使うという文化は世間では稀でした。
そうした中で座布団をそのまま利用できるというのは日本人に馴染みやすかったはずです。
この椅子は少ない素材で最大の効果を発揮する椅子として評価されています。
【デザインとは問題を解決するもの】この言葉がぴったりな椅子です。
現在この椅子は日本のロイヤルファニチャーコレクションにてライセンス生産されて復刻しています。
往年の名作椅子が手に入るようになったのは渡辺力ファンでなくとも素晴らしい話です。
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