– Risom Chair –
デザイナー:Jens Risom (ジェンス・リゾム)
米国のアメリカンミッドセンチュリーモダンを代表するデザイナーのひとり「ジェンス・リゾム」最初の商業家具デザインであり、Knoll社の始まりとも言える名作椅子です。
アメリカンモダンデザインとスカンジナビアンデザインとの融合のような佇まいです。
デンマークから来たデザイナー
ジェンス・リゾムはデンマークのコペンハーゲン美術工芸学校でデザインを学んだあと、1939年にアメリカンデザインを学ぶために渡米します。(学校時代の同級生にハンス・J・ウェグナーやボーエ・モーエセンがいます)
折しもKnoll社の創業者であるハンス・G・ノルも渡米した時期に近く、ハンスとリゾムは考え方が似ていたと記録が残っています。
ハンスはKnoll社(このころはH.G.KNOLL associates)にて新しい家具を製造販売する際にリゾムにデザインを依頼しました。
そしてリゾムが最初にデザインをしたのがこのリゾムチェアです。
ダイニングチェアタイプのサイドチェアと、ラウンジチェアが作られました。
リゾムは戦時中でも製造可能な素材を選びました。それが木材と軍で使い古された帯紐、そしてパラシュートの布です。
これらの素材を組み合わせて作られたのがこのデザインです。
北欧家具にも見られるウェービング張りにそのまま座るという特徴的なデザインとなっています。
本来ウェービング張りはこの上にウレタンクッションなどを乗せてさらにクッション性を高めます。
ですが物資の問題からウェービング張り自体をデザインとしてとらえた構造にしています。
おかげで木材のスマートさが活かされたモダンなデザインとなりました。
リゾムの経歴的にこの椅子は北欧デザインを取り入れたものであり、なおかつアメリカンモダンデザインの先駆けともなった名作家具です。
ハンスは”Bauhaus approch” “Bauhaus idea”という言葉を好んで使用していました。
リゾムチェアの広告はこの言葉を体現したようなビジュアルが作られました。
1945年にはエコノミーという言葉か挙げられ、大量生産とともにKnoll社の発展の礎ともなりました。
現在も米国Knoll社にて正規品が製造販売されています。
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