私が独立する前の話です。
ある家具やインテリアショップを販売するお店で働いていた時のことです。
そこは会社自体が業績不振状態になっていたので、売り上げを挽回すべく試行錯誤をしていました。
そんななか、”現場にいる人間”と”現場を分かっていない人間”とでの剥離を感じられることがたくさんありました。
その中の一つがこんな話です。
ある日のこと。
本部から突然ネコのぬいぐるみが送られてきて、「これどこどこで売れてるから」とか言うんですよ。
私が務めていたお店はモダンな家具を販売するお店で、主力としている家具の値段も数万~数十万んが標準でした。
『はぁーん?なにこれ?こんなぬいぐるみ置いたら店のイメージもおかしくなるし、なにより家具を求める客層とマッチしなくなるでしょ!』
と思うには思うのですが、会社としての指示なわけですから売るのはちゃんと売ります。
するとまたこういった玩具(おもちゃ)みたいなのはそれなりに売れるんですよ。通りすがりの来客が買っていってくれますし。
で、売れるからってこういった雑貨類を増やすようになるんです。訳のわからないキャラクターに流行りもののグッズなど。
本部的には売り上げを上げるために雑貨をどんどん導入すれば数字が上がる!なんてものです。雑貨なので大した数字じゃないのですが、それでも数字上は前月より上がるわけです。僅かでも上がったら社長に売り上げが上がったと報告できますから。
それで家具に手を付けず、雑貨ばかり増やしていきます。しかも単価の安い流行だけの何のポリシーもないものです。
しかし現場を見ればこの判断の間違いは明らかで、こうした玩具みたいな雑貨により他の家具のイメージも損なっていたんです。
売り上げが悪いからこうした雑貨を増やして補わないとと考えているみたいですが、それは間違いで雑貨を増やすから余計に家具が売れなくなっているんです。家具を売らないといけないお店なのにですよ。
集まる客層も明らかに家具に予算を考える人たちじゃないですし、なにより手間のかかる雑貨に作業が集中するため、本当に家具を求めている人たちに手厚い接客や対応が出来なくなっていたんです。
それに、雑貨を求める客層が集まる店は、店内もそんな雰囲気が漂いますので、高額な家具を買ってくれるような人たちが来てくれる感じでは無くなります。
これが全然わからないんですよね。当時の上司たちは。
結局会社自体がもう完全にダメになってしまったので上司たちも転職してお終いですから無責任なもんですよ。
良い時を経験するだけして、悪くなったらハイさよなら。気楽なもんです。
やっぱりですね、現場を知らない人はうまくやれないと思います。
だから現場の人間がある程度裁量を持った状態にするのが良いかなと考えます。
もちろん現場の人間が理想ばかり求めていたらそれをうまく止めるようにバランス調整をする役は必要です。
現場の人間は現場の人間で、雇われて固定給や時給だったりするわけですから、遊んでいたって何していたって賃金は発生します。自分事に感じないので理想ばかりをを追求しがちです。それで売り上げがうまくいかなくても給料は貰えますからね。理想とともに現実的な判断も必要です。
この現場の声をガン無視するのが私は納得できなかったので自分でお店をやるときは自分が正しいと思ったやり方をやる!と決めていたものです。で、実際開業したんですけどね。身をもって行動で正しさを示すのが良いです。
自分の売上が悪い時は必ず以前の経験を思いだすようにしています。
どうしてもうまくいかないときは心も弱くなってしまい、安易な解決策に逃げてしまいそうになります。
そこをぐっとこらえるのが経験です。『売上が今は良くないけど、ここで安易な商品構成をしたら終わりだぞ』と踏ん張ります。
そうするとある期間でちゃんと売り上げも戻ってきてきますし、その後に上がることもあります。
失敗しないとわからないこともあります。
どちらが正しいのかは分かりませんが、後で後悔しない判断をしたいものです。
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