いま巷にコピーデザインが氾濫しているように家具やインテリアのデザインを保護するのは難しいものです。
自分で製品づくりを初めてそれが良くわかります。
せっかく苦心して考えて作ったデザインを保護する手段がないです。
こんなものはプロのデザイナーには当たり前の話なのでしょうが、今まで販売だけで自分で製品を考えて作るなんてことをしていなかったので経験することでよくわかります。
例えばこのフットレストは私のオリジナル製品の中で最もヒットしているものです。
この形とアイデアはかなり考えて試作を繰り返してやっと出来上がった絶妙なデザインです。
これを簡単に真似されるのも嫌なので、このデザインを保護しようと動きました。
まず意匠登録は当然チャレンジしました。
弁理士に依頼をしてしっかり提出したのですが、二回特許庁から拒否されてもう出来ませんでした。
理由は「似た形の製品があるから」とのことなのですが、その似た製品というのが二等辺三角形の全然異なる分野の全く違う製品なんです。
三角形が似ているぐらいなのですが、それですでにあるからと意匠登録を拒否されました。
そんな馬鹿なと思いましたがもうしょうがないです。
実用新案については、何がどう実用新案登録できるのかというデザインなので難しいです。
素材選びは過去にない新しいアイデアではあるのですが発明ではありませんね。
商標に関してはもう全然無理です。(addLessという名前は商標登録していますが)
立体商標なんて取れるわけありませんし、素材選びと形状が重要なのに商標登録をした柄を入れるぐらいしか対策がありません。
ということで結局デザインの保護は諦めました。
そこで、デザインの保護は出来なくても、そもそも真似されづらい方法で作っているのでそちらアピールする方向にシフトしました。
・愛知県にある自動車のシートを製造する工場で製造
・質の良いチップウレタンの使用
・幅広で大きなサイズ
・抗菌効果のあるすべり止め機能を持つビニールレザー
・それでいてこの価格
この5つが合わさると他で作るのは難しいです。
・愛知県にある自動車のシートを製造する工場で製作
まずこれが特殊です。
車はレベルの高い製品ですから、そこに携わる工場のレベルも自ずと高くなります。
家具業界より段違いに難しい業界ですからそこで製造できるのはメリットが大きいです。
その代わりどこかの国で安く作るみたいなことではない以上、とにかく安い製品づくりは追及できません。
・チップウレタンの使用
チップウレタン自体はそもそも安いウレタンなのであまり良い質のものではありません。
チップウレタンは粗悪なものだとすぐにボロボロになります。
これを解決するのが自動車のシート工場です。
なにせ車に使用している耐久性の高いチップウレタンをそのまま採用しています。
なら大丈夫ですよね。
・幅広で大きなサイズ
サイズが大きいほど海外で安く作るのも難しくなります。
何故なら大きくなるほど輸入コストが上がるからです。
重量もあるので大きなサイズのフットレストは真似しづらいです。
・抗菌効果のあるすべり止め機能を持つビニールレザー
これは探せば見つかるでしょうけどね。
そんなわけで家具業界の人ではとても思いつかないやり方をしています。
だからこそ他には無い唯一無二のフットレストが出来上がったわけです。
私も家具やインテリアに固執せず、自動車業界に入っていったのは製品づくりとして良い選択肢でした。愛知県に居る意味もあります。
けど実際にこのフットレストが存在する以上、真似しようと思えば誰かが作れます。
が、そこまで投資してまでこのフットレストを作る会社があるかというと・・・真似しても儲からないでしょうからあんまやる意味ないです。
やっぱり販売業をする人も自分で製品を作るといろいろ勉強になって良いですよね。
そのほうがデザイナーやメーカーが作る製品の理解度の高まるのでお勧めです。
大変さを身に染みると気軽なことを言えなくなりますよ。
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