– Blow–
デザイナー:Jonathan De Pas(ジョナサン・デ・パス)&Donato D’Urbino(ドナート・ドゥユビーノ)&Carla Scolari(カルラ・スコラーリ)&Paolo Lomazzi(パオロ・ロマッツィ)
Blow(ブロウ)はJonathan De Pas(ジョナサン・デ・パス)&Donato D’Urbino(ドナート・ドゥユビーノ)&Carla Scolari(カルラ・スコラーリ)&Paolo Lomazzi(パオロ・ロマッツィ)により1967年にデザインされイタリアのzanotta(ザノッタ)社により製造された名作椅子です。
空気そのものを椅子にするコンセプトとポップカルチャーを象徴するようなデザインが評価されました。
膨らませることで完成する名作椅子
(DREAM DESIGN No.7)
当時は画期的な「クッションを空気をする」というアイデアの椅子です。
素材はPVC(ポリ塩化ビニル)で販売時には空気入れも付属していました。
空気を抜けばぺらぺらとなり収納や運搬サイズに困ることが無く、それでいて空気を入れれば最大の効果を発揮する便利なデザインです。
画期的と書きましたがビニールに空気を入れて膨らませる製品としては既に浮き輪が存在していました。
構造は同じなのでそれを椅子にしたのがBlowです。
一見すると簡単な製品ですが、実際にこれを椅子として成立されるのには当時は困難なことが多く、完成するまでにザノッタ社の苦労があったそうです。
ひとたび量産さえできてしまえば安価に販路を広げることが出来る点でもBlowは優れていますが、この構造は真似をするのが簡単なのでその後に同じコンセプトの椅子が多数つくられました。
いまとなってはこのような椅子はどちらかというと玩具のような扱いで、安価でいくらでも量産品が売られています。
デザインが陳腐化する良い例です。
それに伴い椅子の歴史を知らない人たちから見るとBlow自体も革新的かつオリジナリティのある製品には見えなくなりました。
Blowが名作椅子として語り継がれているのは最初に実現をして製品として量産をしたからでしょう。
アートの世界と同じで、椅子も最初に実現したデザインは歴史に残ります。
それと当時のイタリアンデザインの中で代表的な椅子の一つだからこそでもあります。
60年代のイタリアンデザインは起業家の才能とデザイナーの思想が合わさり実現することで挑戦的なものが数多く、このBlowのような明るくキャッチーなデザインは当時のイタリアを象徴しています。
エンツォ・マーリが語ったような歴史背景があり、明るく非凡なデザインは憧れでもありました。
Blowは1969年には製造が終了しますが1988年に一度復刻をします。
現在は製造されていません。
このBlowを本革製にしたStraccioというアームチェアがあります。
これはどちらが先にデザインされたのかまでは知りません。
余談ですが”空気に座っている”と評されるのはハリー・ベルトイアのダイヤモンドチェアシリーズもです。
全く異なるデザインですが、ある意味ではどちらも空気に座っている、そして透明な椅子と言えます。
空気に座るというコンセプトを実現するのに、どちらも全く異なるデザインなのにどちらも同じ表現をされるのは面白いことです。
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