イームズ夫妻の名作椅子「イームズシェルチェア」は過去も現在も米国のハーマンミラー社が正規品の製造販売をしています。
そのなかで「イームズプラスチックチェア(Eames Plastic Chair)」は素材をポリプロピレン(PP)製にして、カジュアルに使えるように復刻されたシェルチェアです。
イームズプラスチックチェアはどういった経緯で生まれたのか歴史を書きます。
イームズシェルチェアがポリプロピレン素材になったわけ
まず元となったイームズシェルチェアのオリジナルの素材はガラス繊維入り強化プラスチック(GFRP)です。
ハーマンミラー社は80年代の終わりに『GFRPはリサイクルできないし燃やすと炭素が出るから辞めるね☆』という理由で製造を終了します。
それからしばらくイームズシェルチェアの製造販売はされていませんでしたが、90年代の終わりにスイスのヴィトラ(Vitra)社がポリプロピレン製に素材を変更してシェルチェアを復刻しました。
ヴィトラ社は50年代からイームズシェルチェアのライセンス製造をしていたので、シェルチェアの製造自体は初めてのことではありません。
ポリプロピレンにしたのはリサイクルできる素材だからです。オリジナルシェルチェアの製造を辞めた理由の対策として選ばれた素材です。
またポリプロピレンは当時プラスチック家具素材の新主流だったこともあり、同時期にパントンチェアの復刻もされていますがこちらもポリプロピレンでした。
復刻当初のカラーはこれらです。
このカラーはヴィンテージに存在するカラーを踏襲して復刻されました。
ファイバーグラスシェルチェアの色を再現したといっても、ポリプロピレン素材にするとかなり色が違って見えます。
日本では2000年の前半(あやふや)ぐらいまではヴィトラ社が製造したものを、当時はヴィトラジャパンが無かったので代理店経由で流通し販売されていました。
そのうち「イームズ」ライセンスの関係もあり、日本ではハーマンミラー社がヴィトラ製造のシェルチェアを販売することになります。
しばらくヴィトラ製造品をハーマンミラーが販売をしていました。
そして2009年か2010年にとうとうハーマンミラー社がポリプロピレン製で正規復刻製造を始めたことで、ハーマンミラー社製造&販売のイームズプラスチックシェルチェアが生まれた訳です。
ヴィトラ製はヨーロッパを中心に展開されていますが、ライセンスの関係で日本には入ってくることはありません。
イームズプラスチックシェルチェアはこういった経緯で生まれた「まさに復刻品」の為、現在ではヴィンテージオリジナルは踏襲せず、昨今のトレンドやオフィス、住宅に合いやすいカラーですからペールカラーが中心のカラーラインナップにしています。
ミッドセンチュリーやイームズデザインに固執せず、素敵なインテリアデザインとして選んでもらえるようにです。
ポリプロピレンの素材感も相まって現代の住環境と相性は良いです。
他メーカーの有名デザインと比べても価格が手ごろなので、手に入れやすい椅子として選んでもらえるデザインです。
まずは導入としてもオススメできるイームズアイテムですね。
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