愛知県常滑市にあるINAXライブミュージアムにて2023/10/21(土)〜2023/12/25(月)のあいだ「帝国ホテル煉瓦製作所― フランク・ロイド・ライトのデザインに挑んだ常滑の職人 ―」が開催されています。
旧帝国ホテルの煉瓦は常滑の職人が作った
帝国ホテル煉瓦製作所 ― フランク・ロイド・ライトのデザインに挑んだ常滑の職人 ―
アメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(1867-1959)の代表作の一つとして知られる帝国ホテル旧本館(ライト館)は、大谷石とやきものによる建築素材で覆われていました。
使われたやきものの数は400万個以上。
設計にあたり、ライトは帝国ホテル側にさまざまな要求をしたといわれています。
焼き上がりは赤でなく黄色であること、煉瓦表面に入れる縦の溝が綺麗に揃っていること、複雑な形状のテラコッタをつくること……。
膨大な数と高度な造形の要求に挑み応えたのが、愛知県常滑の職人たちです。
六古窯に名を連ねる常滑は、良質な土や海に面した地の利を活かし、平安末期からやきものづくりが発展してきました。
その環境に加え、ライトが望んだ色合いに焼きあがる粘土が知多半島で採れたことから、1917-21(大正6-10)年、帝国ホテル旧本館の煉瓦とテラコッタを製作するためだけに、直営工場「帝国ホテル煉瓦製作所」が常滑に設けられます。
職人たちは研究と試作を重ねながら、高い品質でやきもの製の建材の生産に応えました。ライトの理想を具現化した煉瓦やテラコッタで彩られた帝国ホテルは、1923年に落成。名建築としてその美しさを国内外に誇ったのです *。
竣工から100年目を迎えた今年、ライトのデザインに挑んだ常滑の職人とその技に光を当ててご紹介します。
*帝国ホテル旧本館は1967(昭和42)年、設備の老朽化などから解体されましたが、その玄関部分は博物館明治村(愛知県犬山市)で復元され、食堂の柱の一部(所蔵:博物館明治村)は当館「建築陶器のはじまり館」でも常設展示されています。
公式HPより引用 https://livingculture.lixil.com/ilm/see/exhibit/imperialhotel_brickfactory/
実はフランク・ロイド・ライトが手掛けた旧帝国ホテルの煉瓦(レンガ)は常滑で製作していました。
ライトからの難しい要求に答えたのが常滑の職人達だったからです。
この特徴的なデザインを色とともに実現するのは困難だったと想像できます。
実際に旧帝国ホテルで使用された煉瓦を展示し、さらに当時使用された型枠を復刻して実際に製造を再現した映像を流しています。
ですが帝国ホテル関係の展示は本当に僅かなので、これのみで行くのはよっぽどのフランク・ロイド・ライト好き以外には正直お薦めしません。
だからINAXライブミュージアム自体、そして常滑自体を目的として行くことをお薦めします。
INAXライブミュージアムは焼き物と陶器をメインにした展示をしています。
世界のタイルを展示していたり、焼き物の窯の解説や、建築陶器のはじまりに、さらに窯で焼いたピザを提供するレストランもあります。
焼き物について興味がある人はかなり楽しめると思います。
ニッチかもしれませんがタイルの展示は世界各地のものがあり興味深いです。
ここ自体を目当てにするのが良いです。
ちなみに特別展示中じゃなくても帝国ホテルの支柱は常設展示されています。
でも犬山にある明治村に旧帝国ホテルが展示されているのでそちらでも見れます。
常滑は言わずもがな日本六古窯に選ばれる歴史のある焼き物の街です。
せっかくなら焼き物全てを体験するために常滑に行き、そしてINAXライブミュージアムも体験し、さらに旧帝国ホテルの煉瓦を観るのがもっとも楽しめるでしょう。
注意点として名古屋駅から常滑駅までは名古屋鉄道一本で行けるのですが、INAXライブミュージアムまではバスで行くしか手段がありません。
しかしやきもの散歩道など行きたいとなると、そこからタクシーを呼ぶか徒歩でしか行く手段が無くなります。
歩くと距離があるので事前にルートを決めておくと良いですよ。
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