ワークチェアのヘッドレストは頭を固定するパーツです。
椅子のヘッドレストは本来、上向きで寝る際に頭が下に落ちるのを防ぐためです。
美容院や歯医者、車のシートのような椅子は150°以上後ろにもたれるため必要なパーツです。
このように仰向けになった状態でヘッドレストが無いと頭が下に落ち過ぎてしまいます。
ですからヘッドレストは基本的には寝る用のパーツです。
実は「ヘッドレスト」は短縮した言葉です。
本来は「ヘッドレストレイント(head restraint)」が正式名称で、もともと自動車の座席の上部に取り付けてある保安パーツのことを意味します。
発進時のGや事故の衝撃から頭や首を守るためのパーツです。
それが椅子に取り付けられるようになったわけです。
ということで最近のワークチェアのトレンドはヘッドレストが付いたデザインです。
ヘッドレストがあったほうが見た目に楽そうに見えることも理由ですね。何となく良さそうに見えます。
ヘッドレストは後ろにもたれた際に頭を固定するのが目的ですが、背中や首の可動範囲が狭くなることでストレッチしづらくなることや、首の角度やヘッドレストの当たる位置によって頸椎に負担がかかる可能性があることがデメリットです。
ところで、ワークチェアにヘッドレストを付けることを私は否定的な人だと思われがちですが、そんなことはありません。どちらでも良いです。
ヘッドレストが必要な人、必要じゃない人、ニーズは様々ですから欲しい人も欲しくない人もいます。
色々なユーザーに向けて幅広いラインナップが世の中にはあるものです。
ヘッドレスト付で良いワークチェアがあればそれが良いですね。
私がハーマンミラー製品を販売している関係上、ハーマンミラー社の方針としてヘッドレストを付けたワークチェアのラインナップがほぼ無いことがヘッドレスト否定派に見える要因の一つです。
また、ハーマンミラー社はヘッドレストを付けない理由や事情を公表していますので、それをこのサイトでも説明していることも理由です。
ハーマンミラー社がヘッドレストをアーロンチェアやエンボディチェアなどに付けていない理由はいくつもあります。
そのうちの一つに、世界各国で販売するため様々な身長体格人種に向けてヘッドレストを作るのは非常に難しいというものがあります。
ヘッドレストはどうしても首を後ろから圧迫するため、これが当たり方によっては頸椎を圧迫するだけでなく、首の角度にも影響を与えてしまうため健康被害のリスクがあります。
仙骨と違い、首の長さや頭の位置や大きさは座る人ごとにそれぞれかなり違うため、万人に合うヘッドレストを作ることは出来ないとのことでやっていません。
また、前傾機能を使う椅子は直立になるためヘッドレストが使えず必要ないとの理論もあります。
こうしたことからハーマンミラー社のワークチェアにはヘッドレストがありませんが、コズムチェアのように頭を載せるパーツがあるチェアも存在します。
用途に合わせてデザインを変えているわけです。
ヘッドレストはどうして必要か、自分にとって求めるパーツかどうかを考えたほうが良いです。
ヘッドレストが後から邪魔になると椅子自体を変えないといけませんから、無条件にヘッドレストが付いたワークチェアを選ぶより、作業内容や姿勢に合わせて選んでください。
自分の目的にあったワークチェアを使うことが最良ですよ。
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