教育者としても知られるジョージ・ネルソンは、本の編集・執筆を何冊か手掛けていました。
そのうちの一冊がこの「Chairs」です。
この本はインテリアライブラリーシリーズ4巻の中の1冊で、モダンな椅子のみを集めた内容となっています。
ジョージ・ネルソンが編集をし、彼自身が椅子の紹介文を書き1950年代に発行されました。
オリジナル版の表紙やレイアウトはネルソンアソシエイツのアーヴィン・ハーパーが担当しています。
ジョージネルソンによる椅子の紹介本
ネルソンが数多くのイスやソファを写真とともに紹介文を書いてます。
300以上の椅子が掲載されており、50年代までの椅子デザインがどういったものかが一覧でわかります。
時代的に白黒ですが、写真自体のクオリティはそこまで悪くはないので細かい部分まで見ることが出来ます。
いくつかは現代まで残っているデザインがありますね。
この本の発行当時は、まさか2020年を超えてまで生き残っている椅子デザインがあるとは思わないでしょうね。
特にイームズの椅子についてはページ数を割いており、ちょっとだけ長文で説明をしているのはやはりイームズだからでしょう。
イームズの椅子は当時としても革新的な椅子だから注目が集まるのは当然ですが、イームズ夫妻をハーマンミラー社に紹介したのはネルソンであるため思い入れがあったのではないでしょうか。
ニューヨークでイームズ夫妻が家具の展示会をやっている時にネルソンは彼らと出会いますが、その時に見たプライウッドチェアに才能を感じハーマンミラー社に招き入れますが、実は葛藤もありながらの選択でした。
手放しにイームズ夫妻を称賛してそのままハーマンミラー社に紹介したわけではありませんでした。
ネガティブな感情もありながらも、それでもイームズ夫妻をハーマンミラー社に招いたのは、それほどイームズ夫妻の家具デザインは衝撃的だったからです。
椅子の歴史の中で40年代以降はデザインの発展が目覚ましく、新しい素材、新しい構造と次々に生み出されていました。
中には奇抜な構造もありますし、耐久性に疑問を持つデザインもありますが、そういったことを繰り返して椅子はどんどん洗練されてきました。
その中で歴史を超えて残る椅子デザインはやはり当時から際立った存在のように見えますね。
ジョージ・ネルソンが書いた椅子の本というだけでも椅子好きには見逃せないですね。
椅子に興味があるならぜひ読んでもらいたいです。
ちなみに今回写真に撮っている「Chairs」は1994年に再販されたものです。
オリジナルとは表紙が違います。
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