椅子はそのデザインだけでなく、座る人の快適性を求めて座り心地の良さも大切です。
でも、そんな椅子も使う場所によっては座り心地を求められないばかりか、座り心地の悪さが必要とされることがあります。
そんな場所は回転率を求める飲食店です。
飲食店で長居してもらっては困る
飲食店と一口に言っても、大衆ラーメン屋から高級レストランまで幅広いです。
高級飲食店は料理だけでなく、その空間自体も商品であるためインテリアもこだわっており、当然椅子も利用者の快適さのために座り心地の良いものを用意します。
高級飲食店は一人一人の単価が高いことで、その分時間をかけて料理を楽しんでもらえるようにしています。
コースなら二時間ぐらいは食事しますので、そこに背もたれ無しの木の板一枚のスツールではお客さんが辛いです。多分リピートしませんよね。
それとは逆に単価が低い飲食店は回転率が重要です。
回転率とは座席数に対してお客さんが一日に何回入れ替わって座ったかという意味です。
単純計算で、座席数10席のお店に10人の来店があったら1回転。20人来店があったら2回転です。
つまり、単価が低い分、多くのお客さんが一日に来店してくれないと起きな売り上げにならないため、1人のお客さんに長居してほしくはないのです。ビジネスライクなことを書いてしまいますけど。
ラーメン屋ならラーメンを食べたらすぐに帰ってもらって、次のお客さんを店内に入れたいんです。
もし昼時に店内が満席となり、そのまま最初のお客さんたちが全員帰らなかったらそれ以降の来店は全て断ることになってしまいます。
出来ればすぐに帰ってほしい。というか帰ってもらわないと店として困ります。
その為の工夫として、椅子の座り心地があんまりにも良いようでは、くつろいでしまい食後もゆっくりしてしまうかもしれません。
なので、回転率を求める飲食店には座り心地の悪い椅子が求められるんです。
座り心地が悪い椅子というは具体的にはこうです↓
・背もたれが無い
・座面が小さい
・座面が平面
これらがデザインとして取り入れられていると長時間座るには辛いです。
背もたれが無いのは店内スペースによる制約もありますけどね。
狭い店舗だと必然的に小さなスツールのような椅子になりますから、自然と座り心地の悪い椅子です。
座り心地が悪いといっても座れますから食事は大丈夫です。
けど、そのままその椅子に座ってゆっくりしようとは思いづらいので、ゆっくりしたいならカフェなり喫茶店なりを探して移動をします。
カフェも回転率を求めるようなところだとゆっくりできない椅子ですけどね。
ス〇バのようなところは持ち帰り需要が多いため、そっちで利益を上げることが出来ます。
座り心地の悪い椅子が求められる究極の場所は立ち食いそば屋ですね。
座り心地というか、もはや椅子すらないです。
駅のホームだったり、駅の真正面だったり、もうとにかく時間がない人向けの飲食店ですから椅子に座る時間も必要ない考えです。
駅のホームのソバ屋(名古屋だと”きしめん屋”)なんか早いですもんね、券売機でチケット買ってカウンターで渡したら数十秒で出てきますもんね。
すぐに食べたら滞在時間数分です。椅子は要らないです。
ということで、座り心地の良い椅子だけがこの世に必要というわけではないという話でした。
それでも飲食店で明らかに座り心地が悪く見た目も悪い椅子を置いているのも心証が良くないですから、その辺のバランスが難しいですね。
スツールを置いておいてオシャレ!と言われたらベストです。
居心地の良い店というのは回転率が悪いので高価格帯で無い限りは店側が苦しいです。
けど、顧客満足度は高くなります。これもバランスが難しいです。
薄利で居心地が良く頑張って営業をしても、経営が成り立たないようでは続けられないですし。
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