この奇妙な生き物は通称”ナウガ”と呼ばれ、正式名称は”NAUGA MONSTER(ナウガモンスター)”です。
そしてある企業のアドバタイジング(宣伝)キャラクターです。
最近はこの生き物(?)をご存じない人も増えました。
以前はミッドセンチュリーアイテムの一つ言えばこの子達でしたね。
ミッドセンチュリー、イームズの家具、そしてナウガモンスターが定番でもありましたよ。
脱皮が自由自在な動物?
NAUGA(ナウガ)は1960年代に米国インディアナポリスにあるユニロイヤル社(当時の社名は違いますユナイテッド・ステート・ラバー・カンパニーですが、ユニロイヤルの名前で続けます)が、自社のビニールレザー(合皮)をセールスするためにデザインしたキャラクターです。
まだその当時はビニールレザーという存在は馴染みが薄く、企業や消費者から「何の革なのか?」という問い合わせが多く、うまく合皮の良さが伝わらないといった問題を抱えていました。
そこでユニロイヤル社が考えたセールス方法が、「動物を殺傷しなくても手に入る安価で丈夫な革ですよ!」というコピーとともに販売することです。
ユニロイヤル社は”ナウガ”という架空の動物の皮を販売しているということにしました。
”ナウガ”は18世紀にスマトラからアメリカにやってきた動物で、要望に合わせて好きな色で脱皮をすることができるので、いくらでも良質な革が手に入る”というものです。
”この動物?はいくらでもいろんな色の革を脱ぐことが出来るので動物を殺傷していません”。そんなアプローチです。
それが上写真のモンスターたちのです。
牛の革をカウハイド、馬の革をホースハイドと呼ぶことから、ナウガは”ナウガハイド”と呼ばれました。
※ネイティブに近い発音で「ノーガハイド」と表記するときもあります。
人気が出ることで商品になる
ユニークなブランディングとともに、ユニロイヤル社は取引先にビニールレザーの端切れを使ってこのナウガ人形を作って販促品として配りました。
いつしかその人形自体が欲しいという声が広がり、製品としてナウガモンスターを作りはじめ一般にも流通することになりました。
特徴としては、常に生地の端切れを再利用して作るためにカラーがランダムとなり、同じものが2つとして存在しないということです。(偶然被ることはありますけど)
このナウガ以外にペンギン型など他のバリエーションも作られました。
それでどうしてこのナウガがミッドセンチュリーと関係するかというと、当時60年代からハーマンミラー社のビニールレザーはユニロイヤル社のものを使用していたからです。
イームズシェルチェアのビニールレザー張りもナウガハイドを使っていたゆえに、イームズ好きにはナウガが馴染み深いものでした。
現在、ハーマンミラー社はナウガハイドは使用していません。
余談ですが、私がミシガン州のハーマンミラー米国本社に行ったときに、ネタになるかと思ってナウガのTシャツを着ていったのですが、そこの社員さんの一人はナウガの存在すら知りませんでした。現在の仕事とは関係ないからでしょうね。
日本ではユニロイヤル社と契約をした会社がナウガのライセンスを得て人形やグッズを販売していたことがあります。
このTシャツは私物ですがお店で飾っているとこれが欲しいとよく言われます。
今となっては貴重になりましたので、今となってはたくさん保存しておけばよかったと今となっては思っています。今となっては。
本革でも本来食肉の副産物ですから、無益な殺生をして流通しているわけでもありませんよ。
考え方は色々です。
以上、ナウガとは何ぞやという話でした。
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