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家具のオンライン販売の終焉 ― 家財便が限界を迎える日

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家具を配送する際に欠かせないのが「家財便」です。家具を1点から配送できるサービスで、作業員が集荷場所まで出向き、その場で梱包と搬出を行い、配送先では開封して設置まで対応してくれる便利な仕組みです。

もともとは「ヤマトらくらく家財便」という名称でしたが、現在は「アートセッティングデリバリー」に社名を変更しています。

ヤマトの前は「ムービング」でしたが、それを覚えている人はもう少ないでしょう。

 

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家財便は家具販売における必須サービス

この家財便は、家具を販売するうえで欠かせない存在です。遠方へ大型家具を配送するにはこのサービスが必要不可欠です。

大型家具は段ボールでの梱包が難しく、また佐川急便やヤマト運輸の通常便では扱えないサイズです。さらに現地で組み立てが必要となる場合は、なおさら一般の配送では対応できません。

つまり、この家財便があるからこそ家具のオンライン販売が成り立っています。

 

しかし、それもいつまで続くのか

私はオンラインショップによる家具販売は、いつか終焉を迎えると見ています。

理由は2つあります。

1. 作業員の不足

まず一つ目は作業員の問題です。

最近は家財便でも外国人スタッフが当たり前になってきましたが、配送業界は慢性的な人手不足です。

若い世代で配送業を選ぶ人は少なく、特に繊細で力仕事を伴う家財便の仕事は難易度が高く、敬遠されがちです。

現場経験が豊富なベテランも年齢を重ね、体力の低下が進んでいます。

現在の熟練者がいなくなれば、サービスのクオリティを保つことは困難になるでしょう。

では、コンビニやスーパーのように外国人労働者だけで構成されるかというと、それも難しいと思います。

最大の壁は「トラックの運転」です。

異国である日本でトラックの運転免許を取得し、地理を把握し、交通ルールを順守するのは非常に難易度が高いことです。

さらに、現場での家具の搬出・梱包・搬入まで行う力仕事も必要です。搬出・搬入の際に建物を傷つけないよう慎重な作業が求められるため、ただ力があればできる仕事ではありません。

こうした人材を今の必要人数まで揃えることは現実的に不可能です。

結局は給料を上げて人を集めるしかなくなりますが、それが次の問題につながります。

 

2. 配送料の高騰

私がこの業界に入ったばかりの2006年頃と比べると、現在の配送料は2〜3倍になっています。

さらに、アートセッティングデリバリーになってからは、繁忙期に「追加費用+2000円」という突発的値上げも行われています。

送料の高騰には当然理由があります。

人件費、ガソリン代、駐車場代、トラック代など、すべてのコストが上昇しているのです。人件費を上げなければ求人が集まらない以上、それが送料に反映されるのは当然の流れです。

ここで重要なのは、この価格が「アートセッティングデリバリーによる自由価格」であるという点です。

競合他社が存在しないため、事実上の独占状態となっています。

どれだけ値上げをしても利用者が依頼するしかなく、価格を抑える市場原理が働きません。

したがって、この値上げは今後さらに進行していくと考えられます。

これは批判ではなく、構造的な問題としての指摘です。

 

家具オンライン販売が抱える限界

この配送問題が解消されるのは、トラックが自動運転になり、家具の搬出・搬入も機械化できるようになった時です。

しかし、そんな未来はまだ遥か先の話です。

複雑な住宅環境でロボットが自立して作業できるようになるには、相当な時間がかかるでしょう。

それまでの間に、家財便の業務そのものが限界を迎え、サービス終了に至る可能性が高いと見ています。

 

高騰する送料と利益圧迫

もうひとつの問題は「送料負担の大きさ」です。

現在でも、販売した家具の利益の何割かが送料に消えてしまう状況です。

送料無料を当たり前とするユーザーにとって、送料は邪魔なコストという感覚ですが、販売側にとっては利益を奪う大きな要因です。

むしろ送料により赤字になることもあります。

 

倉庫契約での対応とその限界

この問題を少しでも軽減するために、現在では倉庫を自社で持つか、倉庫業者と契約するケースが一般的になっています。

大量出荷を行う倉庫を持てば契約料金が適用され、コストを抑えることが可能です。

あるいはそうした倉庫と外部契約を行う方法もあります。

私自身も倉庫と契約し、契約料金で出荷しています。

しかし、これは決して負担が小さいわけではありません。

何でも自由に出荷できるわけではなく月額費用もかかります。

一定以上売れ続けない限り、維持は難しいのが現実です。

つまり、自前で倉庫を持つような規模の業者以外は、いずれ家具のオンライン販売が不可能になる時期がやってくるでしょう。個人店や小規模な店舗は淘汰されると考えられます。

昔のように自分で配達する方法もありますが、そもそも家具の販売業自体も人手不足ですし、家具の配達までできるようなスタッフはもう僅かです。今後増えることは考えられません。

結果として、販売範囲が大幅に制限されてしまいます。

 

家財便が終われば全国配送も終わる

家財便がなくなっても、配送方法を考えることはできます。

しかし、それが可能なのは関東や関西など人口密集地のみです。現在のように日本全国へ配送できる仕組みは不可能になります。

いずれにしても、家財便がいつ終わるのか、あるいは送料が高騰しすぎて利用不可能になるのか――それを待っている状態だというのが私の見解です。

家具オンライン販売の終焉は、家財便の終焉とともに訪れる。

今後、家具業界にとって避けて通れない現実です。

 

そこを解決するように考えて実現できるところだけ生き残っていきますが、それもamazonのような超大手が合理的なシステムによる寡占事業になるまでの間のような気もします。

以前と比べ組み立て家具のクオリティも格段に高くなっているので、もしかしたら今後は組み立て家具が当たり前の世界になることもあります。

筆者のお店「case study shop NAGOYA」

ミッドセンチュリーデザインの専門家のオンラインショップです。
初代ハーマンミラーエルゴノミックアドバイザーであり、ハーマンミラーコレクションアンバサダー(全国一位)でもあります。
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