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実は鹿児島空港はイームズシェルチェアの聖地

鹿児島空港のイームズシェルチェア

鹿児島県霧島市にある鹿児島空港には大量のイームズシェルチェアが使われています。

イームズ好きやミッドセンチュリー好きの間では昔から有名な話ですが、実際に空港まで行き見てきました。

 

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鹿児島空港で見ることが出来るイームズシェルチェア

 

実は鹿児島空港の公式HPにそのことが書かれています。

鹿児島空港の公式HP

国内線ターミナル2階の搭乗ゲート内及び国内線ターミナル3階の航空展示室には、1972年(昭和47年)の開港当時から使われているハーマンミラー社の椅子「イームズ・シェルチェア」が多数設置されています。それぞれのくつろぎのお時間をお過ごしください

引用先HP https://www.koj-ab.co.jp/service/eames-chair.html

鹿児島空港のイームズシェルチェア

鹿児島空港にイームズシェルチェアが大量に使われている情報を知ったのは・・・20年以上前のカーサ・ブルータス(雑誌)を読んだ時だった気がします。

大量のシェルチェアの写真を見て「いつかは行ってみたい」と思ったものですが、それから人生いろいろあり行くことはなく、急にこの件を思い出したので先日鹿児島まで行ってきました。

空港だけ見て帰るのは流石にもったいないので鹿児島観光もしてきました。車で知覧まで行きましたよ。

 

鹿児島空港のイームズシェルチェア

このタンデムベースはこの空港用に長さを調整した特注のようです。

ビニールレザー張りにしたのは座り心地でしょう。

プラスチックそのままの方が長持ちしますが、空港利用者の事を考えるとクッション性はあったほうが良いためです。

飲み物をこぼしても拭きやすいという点からもビニールレザーは有利です。

カラーコンビネーションにインテリアデザインの古さを感じますが、年代的には当時として最新のトレンドだったのだと想像できます。

いまとなっては逆にオールドデザイン感が売りになっている気もします。

 

鹿児島空港のイームズシェルチェア

イームズシェルチェアの良さは保守と点検と修理にあります。

その点で空港での利用は良いはずなのですが、問題はもうそれらが全て出来なくなっていることです。

このシェルチェアは当時ハーマンミラー社の家具を販売していたモダンファニチャーセールスが納品したのですが、この時は日本でシェルチェアの製造をしており、ここで納品されているシェルチェアも日本製です。

当時プレゼンする時は頑丈かつ破損があった際に部品単位での修理が可能で、低コストで張替えやシェル自体の交換も可能で、ベースのグライズなど部品さえあれば誰でも対応可能なことを売りにしたのでしょう。(想像)

が、現在はモダンファニチャーセールスは無くなりハーマンミラージャパンとはなっていますが、もちろん日本製の製造は行っておらず部品もなく同型のシェルチェアの交換も修理も張り替えも全て出来ません。

私はこのタイプのシェルチェアの修理やモールを縫い合わせた張り替えも出来るので保守も修理も点検も可能ですが、パーツの用意が出来ないので完ぺきではありません。

 

納品時は空港へのアフターフォローをし続けるつもりだったのでしょうが、結局それは実現できず今に至るのでしょう。

そのことが空港に行くと良くわかります。

もともとシェルチェアが使われていたであろう場所に異なる空港向けの椅子が設置されているからです。

壊れたシェルチェア部分は撤去して、ベースと組み替えて残していっていると思いますので、どんどんシェルチェアが減っていっているようです。

いずれはすべて撤去される時が来るでしょうね。

その時に新品のシェルチェアになることはないでしょう。タンデムベースもないしビニールレザー張りのシェルチェアも無くなっていますから。

タンデムスリングになる可能性はありますが、保守し続けることが出来なかったハーマンミラー社の製品をもう導入するとは思えません。

 

鹿児島空港のシェルチェアの座面裏を見ると納品時から一度入れ替えがされているのではないかと思います。

1972年に初めて納品されたとHPには書かれていますが、いま設置されているシェルチェアのエンボスは後期の個体です。

90年以降まで納品していた個体なので、もしかしたらその時期に全部シェルチェアを入れ替えているのかもしれません。もし1972年当時のままのシェルならエンボスが異なります。

鹿児島空港でしゃがみ込んで座面裏を見ていた私は周りから見ると相当な変人です。

 

※追記:もっと詳しく書きます。

後期と書きましたが正しくは最終型です。

この仕様は遅くとも90年前半までに納品をする必要があるので、それまでに入れ替えがされていると思われます。一応96-97年ぐらいまではこの型のサイドシェルの納品は可能でした。

それ以降となるとこの型のサイドシェルは製造されていません。

もし1972年当時のままだとするとシェルとの時代が合いません。

ただしベースは当時のままだと思われます。

アルミ部分は輸入で、台座部分の製作やカットは日本でやっていたのではないでしょうか。

テーブルもこれは日本で作ったものです。

それから、ビニールレザーがダメになった個体は張替えをしているそうです。

その張替を私の前の社長が請け負っているそうで、ナウガレザーで何度も張り替え依頼を受けていました。

追記ここまで。

 

鹿児島空港のイームズシェルチェア

ちなみに日中はご覧の通り空港利用者で椅子は利用されているので観察するのは難しいです。

だから私も最終便を利用しました。これなら間違いなく自分の乗る便以外に利用者はいませんからね。

しかもスカイマークは空港の一番端なので写真が撮りやすいです。

そのおかげで誰もいない状態の写真を撮ることが出来ました。

 

鹿児島空港に行った際には見ていってください。

いつまで設置されているかわかりませんからね。

(たぶん空港展示室のシェルチェアはヒストリーとして展示され続けられると思いますが)

 

追記:動画を上げましたのでご覧ください。

 

下記の動画は2日目ですが最終便に乗ると誰も座っていない大量のイームズシェルチェアの写真が撮れます。

その時の模様が見れます。

 

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