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SNS時代に増えた「アイデアだけ出す人」問題|本物のクリエイションを奪う構造

現実世界で力も実績も持たず、SNSに注力することで注目を得る。

そんな逆転した価値観が広がっています。フォロワーが集まれば、実社会でも評価される「価値ある人」のように扱われる。

その象徴が、プロダクトのアイデアだけ出して「自分はクリエイターだ」と名乗る行為です。

 

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アイデアを投稿するだけで「創作者」気取りになる違和感

AIが画像や動画を生成できる時代になり、アイデアのアウトプットはさらに増えました。

SNSで注目されるためにアイデアだけを発表し、フォロワーを集める。

しかし「ただアイデアを投稿するだけ」の人たちが増えたことで、深刻な問題が起きています。

 

デザイナーの創造を奪い、開発の足を引っ張る

企業やデザイナーが長い時間と予算をかけ、試行錯誤して製品化を目指したとします。

ところが、

  • 似たアイデアが先にSNSで投稿されている
  • 発表しただけの人から「パクリだ」と騒がれる

アイデアだけ投稿して、「先に言ったのは俺だ」と権利を主張できるという風潮が広まった。

そして実際に企業が製品化すると──

  • 「パクられた」と騒ぐ
  • 賠償を求める
  • SNSで炎上させ圧力をかける

これはまさにデザイン版・特許ゴロだ。

リスクも汗も流さず、
成果だけかっさらう構造が生まれている。

 

アイデアだけ出すのは簡単。製品化は地獄のように難しい

本音を言えば、アイデアを出すだけなら誰でもできます。

アイデアだけでは失敗もしませんし、痛みもありません。

しかし、製品化は違います。

  • 構造と設計を何度も見直し
  • 素材を選定し
  • コストに合わせて調整し
  • 量産できる工場を探し
  • パッケージ、商標、意匠、販路まで考える

どれだけ優れたアイデアでも、形にしなければ存在していないのと同じ。

販売して、初めて評価される世界です。そして売れなければ意味がありません。

私自身もプロダクトデザインをしていますが、自分の製品を世に出す苦しみを知っています。1つのテーブルを形にするだけで数年かかったものもあり、5年かけても実現していないものすらある。

それが「ものづくり」のリアルです。

 

アイデアを盾に「被害者ヅラ」する矛盾

アイデア投稿者は、自分のアイデアが誰かと被れば「偶然です」で済ませます。

まだ世に出ていないため痛みがありません。

ところが、企業やデザイナーが形にした途端に、

  • 勝手に自分のものだと主張する
  • パクリ扱いし、SNSで非難する

この構造はあまりにも歪んでいます。

 

デザインが「消耗品」扱いされる危険性

フォロワー獲得を目的としてアイデアが次々と消費される──これではデザイン業界は焼き畑です。

最後まで形にする人が報われない世界になってしまう。

  • 短期的な注目のためにアイデアが粗雑に使い捨てられる
  • 本物のデザインが作りづらくなる
  • 業界全体の創造性が痩せていく

 

これでは未来につながる本物のデザインが消えていきます。

アイデアは実際に形にした人のものであるべきではないでしょうか。

同じことを考えていましたと言うだけなら簡単すぎます。

 

筆者のお店「case study shop NAGOYA」

ミッドセンチュリーデザインの専門家のオンラインショップです。
初代ハーマンミラーエルゴノミックアドバイザーであり、ハーマンミラーコレクションアンバサダー(全国一位)でもあります。
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