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以前の家具屋/インテリアショップの店員は何でもする修行のような場でした

店員は修行の場

色々時代は変わったなと思いますが、それはこの家具/インテリアの販売業も同じく変わったなと実感します。

以前の家具屋/インテリアショップの店員は何でもやる存在だったんです。

 

接客と販売だけじゃなくて営業や集客もします。

配達もするし納品も施工もします。

修理もするし家具の製造はしないでも加工ぐらいまでならしました。

設計した家具を発注して工場で製造することはあります。

中には家具の製作をして販売することもありました。

家具が好きなので分解や組み立てだけでなく、ネジ一つから勉強をして構造を理解します。

古い資料を読み漁り歴史やデザイナーの事をとにかく調べ尽くしました。

企画も考えるし販促も考えるし製品づくりもします。

インテリアコーディネートもするし図面を書きますし家具の設計もしていました。

海外に視察や仕入れのために行きます。

HPの更新や記事の更新もしています。

etc…

 

要は家具やインテリアに関して出来ることは何でもするのが家具屋の店員でした。

 

さらに語学力もあり海外経験も豊富だったりと、さりげなくスペックの高い人たちが憧れの生活を作り上げるために家具業界で働いていました。

 

これらを1人で全部できる人は稀なので、分業で出来る人が集まり1つの店舗ですべてが完結できるようにするものでした。

私のように1人で営業をする者は全てをやれるだけやるしかありませんが。

 

それでいて最低賃金で重労働かつ長時間労働とブラックの極みではあるのですが、それはいわば修業の場だから境遇が許されていました。(許されてない)

それでも働くのは根底にあるのが家具やインテリアが好きという感情なので、労働条件よりやりがいや憧れ、夢があるから良くも悪くも働く人たちがいました。

勝手に勉強をして自分を高めていく人たちなので、もちろんそこで人生を終えるのではなく、ある程度の修行を経て独立をするものですからそれ前提の業界です。

 

あくまで店員は独立までの経験を積む場です。

 

そして独立していった人たちが新たな文化を伝える側に回り、歴史を絶やさず家具の歴史文化を広げていく世界でした。

だから様々なジャンルのインテリアショップが過去には存在し、独特な世界観が広がっていて楽しさもありました。

 

でも今はそんなことは無いです。

やりがいや情熱を持つのは時代錯誤だと言われ、家具に対して熱い気持ちを持つ人たちが集まることも無くなり、労働条件が優先されるだけの求人ですから今の店員は上記のようなことはありません。

そのうえ家具業界なんて将来性もないし給与も良くないので、待遇だけで見ると優れた人が入ってくることもありません。

 

さらに会社としても属人的にはならないように店員の能力に任せて売り上げを作るようなことはせず、店員は誰でも良く、マニュアル通りの決まったことをするだけの仕事ですから必然的にスキルは求められません。接客するだけです。

配達すらしない店員なんて、はっきり言って家具について何の経験も知識もないのは明白なのですが、そんな個人の能力に任せず店員はいつでも代替できる要員として会社はマーケティングでいかに売るかを優先します。

店員側も嫌なら辞めるだけ、転職するだけです。

 

これの問題は、目先の事しか考えず刹那的な販売しかできなくなるということです。

売上が悪い=セールをするとか、ゲーミングと名付ければ売れる!とか流行に乗っかるだけで、売れているかどうか、インフルエンサーが紹介しているかなど、芯が無い販売や短絡的で頭を使わない行動を取ります。

理由は職業経営者の台頭と、先述の通り知識もないし経験もないので、それらに基づいた考える力が無いからです。

 

今は”やりがい”なんて言うと叩かれる時代ですが、結局好きでやっていることですからそれでよかった部分があります。

その反面やりがい搾取がありますから一概に良いこととは私も言いません。

実際、私なんかは好きでやりがいだけでやっていたら給料も払われないし、無休だしと、ありとあらゆる問題に対面させられボロボロになっただけです。

ズタボロな人生でしたが、それを無駄にせず今があるわけではありますが結果論ですね。

 

辛い目には合いたくないですが、それでも経験を積まないと実力が上がっていかないというジレンマもあります。

練習せず筋肉痛にもならずスポーツで勝てる人なんていないでしょうから。

 

結局は自分で稼げるようにするのが最良なので、家具/インテリアの販売員という仕事はあくまでそれまでの繋ぎというものでもありましたし、そんなやる気のある人たちがいたことで回っていた世界です。

そうして独立していった人たちがまた新たな文化を発信する側に回り、そうして循環していました。

 

それが無くなった今、今度はマーケティングと家具の美術化を進めマネーゲームにすることで価値を広めようとしています。

権威主義は家具の歴史からすると近代市民革命以前に逆行しており何が何やらです。

 

もともと家具は資本主義の道具でしたが、エンツォ・マーリの言うように社会主義的なパワーから社会を良くする道具としてデザインという概念が生まれ多くの優れたプロダクトが生まれました。

そんな歴史があった上で、また貴族社会における資本主義のマネーゲームに戻った印象です。

つまるところ、もはや家具の歴史はすでに終焉を迎え、あとはリサイクルを繰り返していくだけなのでしょう。

 

家具が好きで働き己を高めていく人たちがいたこの業界こそ私が好きなところだったので、そんなことが無くなってしまったことを残念に思います。

 

詳しいのハードルが驚くほど下がっているのもつまらない要因です。

無知な知ったかぶりが解説してそれを褒める構図になっています。

 

だいたい家具の事を語るのに作ったこともない、修理をしたこともない、配達をしたこともない、分解をしたこともないのでは話になりません。

何故そのデザインがそうなっているのか理解するにはネジの構造から把握も必要です。

理由があって作られたデザインですから、見た目だけで家具の歴史を語るのは車の修理も出来ない車評論家です。

 

特に結論は無い話ですが現状について書いてみました。

 

もちろん今も何でもやっている人やお店もいますよ。

 

筆者のお店「case study shop NAGOYA」

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初代ハーマンミラーエルゴノミックアドバイザーであり、ハーマンミラーコレクションアンバサダー(全国一位)でもあります。
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