日本におけるKnollの難しさは変化の激しさにあります。
国内で初めてKnoll製品が正式に販売されたのは1964年頃のことです。
西武百貨店の外商事業部が取り扱いを始め、後に株式会社西武百貨店外商事業部ノール部(ノールインターナショナル)が設立されました。
やがて日本製のKnoll製品が製造・販売されるようになりました。
この歴史は長かったのですが、2000年代初頭に西武百貨店はKnollの販売を終了し、その後、別会社にKnollのライセンスが移管され販売が続けられました。
やがて日本製の製造・販売は終了し米国製の輸入に切り替わります。
その後、さらに2回会社が変わり今回のKnoll Japan株式会社の解散に至りました。
ただし、直近のKnoll Japan株式会社はKnoll Studioの販売を行っていたため、Knoll自体の販売は2017年を最後に日本では展開されていないことになります。
Knollのライセンス自体は移管されているためブランドは継続しているように見えますが、KnollとKnoll Studioは別ブランドです。
Knollという商標を国内で使用するにはライセンスの移管が必要だからです。
実は、日本でKnoll本国出資の現地法人が作られたことは過去に一度もありません。
現在、米国はMillerKnollとなっているため、Knoll単体で日本に現地法人が設立されることはもうないでしょう。(おそらく)
私は西武時代から販売経験があるためこの歴史をすべて覚えています。
しかし、これだけ会社やライセンスが変わると混乱します。
さらに、その時々で販売されるKnoll製品のラインナップが異なるため、なおさら理解が難しくなります。
まず米国製があります。
そして日本製があります。
この日本製に特注があるのでカタログ外の仕様が存在します。
米国製と日本製を組み合わせた仕様も存在します。これは内緒に作られたので公には存在しないことになっています。販売していた経験があるのですが、塗装や金具が違うのでそこで判断します。
Knoll Studioのイタリア製がありますし、日本別注規格もあります。
しかし先述の通りKnollとKnoll Studioは別ブランドです。
これらが存在し、それぞれサイズや価格や塗装などが異なります。
だからベルトイアのサイドチェア一つとっても日本製か、米国製か、イタリア製か、日本別注のイタリア製か、そしてそれぞれの年代や塗装などによって全部価値が違います。
全部判別できる人がいま日本で何人いるんでしょうか・・・?
ちなみに日本でKnoll製品を難しくさせている要因の一つにMODERNICA製があります。
これがまたMODERNICA製のサーリネンデザインの椅子があったりしますので、刻印がなかったら結構難しいですね。
あったと思いますけど正直わたしも記憶が薄くなっているので・・・
今後どれだけAIが発達してもインターネット上に無い情報は知る術がありません。
だからKnollのこれらの情報を得る手段もありません。
これがあるのでKnollは日本でなかなか根付きづらいです。
販売されたりされなくなったりを繰り返して、その都度ラインナップと価格が変わりましたし、歴史を説明できる人がほぼ居ません。
それに西武時代のKnollは高級ブランドという位置づけではありませんでした。
この頃の記憶がかろうじて今も残っているので、現在の価格とのギャップを感じます。
本国との方針が異なりましたね。
その上でKnollを辞めたり再開したりの繰り返しですからね。
地道にでもブランドや信頼を積み上げていく必要があるのに、毎回それを崩しているようでは根付きません。
それとブランド価値を支える要因の一つに中古価格とヴィンテージ価格があります。
これが過去のカオスなラインナップが流通しているので、もう値付けも鑑定もめちゃくちゃです。
これにより下支えが無いんですよね。
仮にまた今からKnollの販売を始めたとして、過去の製品のアフターフォローやメンテナンスはどうするのか疑問です。
鑑定できるのでしょうか・・・?現役で働いている人の中にそんな人が国内にいますか・・・?
ということでKnollの国内での難しさでした。
私は全部の歴史を知っているほうですけど、個人的に日本にこの歴史を全部知っていて現役で働いている人が何人いるのか気になります。
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