台湾の台南市には台南市美術館があります。
近現代館(一館)と当代館(二館)との2棟で構成されており2019年にオープンしました。
台南市美術館は台湾の近現代から当代美術に焦点を当てた収蔵・研究・展示を行っています。
台南市美術館の設計
台南市美術館二館は日本の建築家「坂茂(ばんしげる)」氏が設計しました。
台南市は、古都の文化と現代性を調和させる設計者として坂茂 氏を起用し、歴史ある街並みとの対話を重視した建築を実現しました。
内部から見ると彼らしい設計を堪能することが出来るので、美術展示だけでなくこの建築自体も見所です。
文化的価値とテーマ
この美術館は台南の400年にわたる歴史と豊かな文化資産を基盤に、地域のアイデンティティを再発見しながら、美術を通じた教育や国際的な交流を推進しています。
子どもから高齢者まで誰もが美術を楽しめる「全員参加型」の文化施設を目指し、美感教育や地域共生を大切にしています。
もちろん台南の魅力を発信する文化的存在意義もあり、オープン以来、台南市美術館は芸術と歴史の融合の場として注目され、台南の新たな象徴的存在となっています。
実際内部の展示はアーティストによる展示だけでなく、児童たちの作品や絵なども展示しています。
子供に楽しさを伝えるだけでなく、それを発信することで来場者にもアートをぐっと身近なものに感じさせてくれます。
奔放で多種多様な展示
展示は本当に奔放で、私が訪問した時は「吾妄之境The Fantasy Wonderland」としてボーイズラブ(BL)とテーマにした展示をしていました。
日本のBL作品が展示されている光景は海外の美術館とは思えないほど興味深い光景です。
入り口で何かのアニメのキャラクターが日本語で展示の解説をしていましたが、日本語で解説されても台湾の人はわからないだろうと思いました。(中文の字幕はありました)
少し話がずれますが台湾はなんとなく日本語が通じるイメージがあるようですが、それは台北の観光地に限った話です。
台南エリアは基本的に北京語か台湾華語が基本言語となるため日本語は通用しません。そもそも観光客も台北に比べると少なく日本人も見かけることが珍しい場所です。
ここ台南市美術館は(たまにある)美術館の嫌味や驕りがなく来場者に楽しんでもらえるような工夫がされています。
アートを身近に感じ、かくも自由であるさまを体現した居心地の良い美術館です。
東南アジアをテーマにした展示があり、その奥にはカラオケスペースがあるほど何でもありです。
言語(タイ語?)がわからないでしょうから歌う人は居ないと思いますが、美術館の窮屈さとはかけ離れた場所にいます。
台南市美術館一館
そして近くには台南市美術館一館があります。
チケットは共通なのでどちらかで購入すればどちらも入場可能です。
台南市美術館一館は、1931年に建設された旧台南警察署をリノベーションして誕生しました。
この建物は日本統治時代に建設された貴重な歴史的建造物で、当時の雰囲気を色濃く残しています。
建築の外観はとにかく素晴らしいので一見の価値はありますが、内部はもっと素晴らしいです。
もうこんな重厚な建築は貴重なので自由に歩き回れるのは楽しいです。
リノベーションを手掛けたのは台湾の建築家チームで、歴史的要素を尊重しつつ、現代的な展示空間として再構築されています。
台南市美術館一館の中央広間には大きなガジュマルの木が立っています。
ぐるっと建物が取り囲む中に椅子やテーブルも設置され憩いの場所として機能していますが、とにかくこのビジュアルが素晴らしすぎるので見てもらいたいです。
台南市に訪れた際にはぜひ行ってもらいたい美術館です。
台北や高雄から行く価値がある場所なので、台湾旅行は台北だけでなく南側もプランに入れてみてください。
台南市自体が本当に心が安らぐ良い場所です。
ちなみに台南駅に行くと地下道に「台南に来たことがないと台湾に行ったとは言えません」と書かれた広告が掲示されています。
だから台南に行きましょう
場所と行き方
台南市美術館一館:南門路37号
台南市美術館二館:忠義路二段1号
日本から行く場合
日本の主要都市から台北の桃園国際空港へ。
高速鉄道(高鉄):空港MRTで高鉄桃園駅へ移動し、高鉄で台南駅まで(約1時間50分)。
市内移動:高鉄台南駅からシャトルバスやタクシーで市中心部の台鉄台南駅へ。
※高雄国際空港から行くと台南は近いのでプランにあわせてどうぞ。
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